悲劇を忘れぬ為の方法

以前にあった北九州一家監禁殺人事件も不気味だったが、今回の尼崎を
発端とした一連の事件はそれを確実に上回りそうだ。

日が経つごとに被害者が増え、被害家族が拡大して行く。なんなんだ、
あの連中は。

この事件、まだまだ終わりそうにない。一体、最終的には犠牲者は
何人になるんだ?不気味という言葉だけじゃ足りないぞ。

『戦場の都市伝説』(石井光太 幻冬舎新書)読了。

イタリア軍は砂漠への行軍でもパスタを持って行く。

これは明らかな都市伝説らしいのだが、「イタリア軍の兵士は例え戦場に
いようともお昼になるとマンマのパスタを食べに家に帰る」と言われても
わたしゃ信じるね。笑。

色んな都市伝説があるけれど、本書は戦争や内戦の戦場となった場所
で語られている都市伝説を集めたもの。

ナチスの人間石鹸、死体でのコカイン運び、米兵の遺体修復の高額
アルバイト、夜になると遊びに誘いに来る子供の霊、捕虜たちを見守る
子供、川をせき止める死体、死体を食らって巨大化した湖の魚等々。

それぞれの都市伝説が生まれた背景が解説されており、人間の愚かさ・
残虐さが剥き出しにされている。

都市伝説に込められたのは無念の思いであったり、哀しさであったり、
憤慨であったりする。それが、大きな悲劇を語り継ぐ方法でもあるの
かもしれない。

ただ、この著者にしてはクオリティの低さが気になる。新書だから仕方
ないのかもしれないが、戦場都市伝説カタログみたいになっている。

各章の終わりにコラムがあるのだが、国によって幽霊やお化けの
形態が異なる…なんて話はちょっと楽しかった。

戦場の都市伝説なんてないに越したことはないのだけれど、人間が
諍いを続ける限り今後も生まれるのだろうなぁ。