夢から悪夢への道のり

運よくチケットが取れたので、本日千秋楽の舞台「ふりあめりかに
袖はぬらさじ」を再び観に行って来た。

舞台の内容は以前の日記に書いたので割愛。その先日の観劇から
我が旦那があからさまな嘘を吐くようになった。

ああ、もう分かったよ。あの台詞を言いたいだけなんだろう。

「嘘っぱちだよ〜」

劇中で坂東玉三郎演じるお園の台詞だ。しかも表情付き。でも、
白クマはどう頑張っても玉三郎には見えませんけどね。

一々「それ、本当?」って突っ込むのも飽きて来たので、今後は
放っておこうか。笑。

『ボーパール 午前零時五分 上』(ドミニク・ラビエール/ハビエル・モロ
 河出書房新社)読了。

イナゴの大群が農作物を食べ尽くす。世界のどこにでも起こる害虫に
よる農作物への大打撃。そして、それが原因となる農村部の貧困と
飢饉。

インドでもそんな害虫被害は例外ではなかった。農作物の収穫が
見込まれなくなった故郷を捨て、農民たちは都市を目指す。そして
スラムが出来上がる。

アメリカで生まれた多国籍企業は、農作物に害をなす虫を根絶する
為の殺虫剤の開発・販売で成功を収めた。そんな企業が市場として
見込んだのが農民5億人を擁するインドだった。

工場が出来たのはボーパール。地図ではインドのほぼど真ん中に
位置する。

インドの統一がなる以前には多くの女性君主が統治して来た町は、
仕事を求めて地方から出て来た貧困層の人々が多く暮らす町で
もあった。

ホスゲンやイソシアン酸メチル等の毒性が高いものを使用する
工場は、万全の安全対策を施して作られた。

しかし、ひとりのインド人労働者がホスゲンの影響で死にいたる
事故が発生する。

あるジャーナリストは警告する。ボーパールの工場では安全が
ないがしろにされている…と。

しかし、州政府もインド政府もジャーナリストの告発に耳を貸す
ことはなかった。後々、史上最悪の事故を引き起こす芽は、
この時からあったにも関わらずだ。

農作物を食い荒らす害虫を駆除する為の殺虫剤の製造工場は、
雇用をも生み出す「夢の工場」になるはずだった。しかし、その
「夢の工場」は徐々に「悪夢の工場」への道を辿りつつあった。