愛書狂の恐るべき世界

美しい国・日本」の次は「麗しい国・日本」ですって。安倍ちゃんが
自民党の全国幹事長会議で言っていた。

政権を放り出したあなたが、自民党総裁に返り咲いていること自体が
麗しくないんだがなぁ。

「党員投票でトップだった石破氏がなんで決選投票で敗れるんじゃい。
地方の意向を反映させるように総裁選のルール返んかいっ」とか
言われてたな。

党員の皆様はよっぽど嫌だったのね、安倍ちゃんが。ぷぷぷ〜。

『ナインスゲート』(アルトゥーロ・ペレス・レベルテ 集英社文庫)読了。

どうも映画の方が印象が強くて、読んであいる間ジョニー・デップ
顔がちらついてしょうがなかった。

舞台はスペイン。富裕な愛書家相手に荒稼ぎするのが本書の主人公
である書物狩猟家のコルソ。

1666年にヴェネツィアの出版業者が世に出した奇書「影の王国への
九つの扉」の真贋鑑定の依頼が彼の元に舞い込む。

異端の書物を出版したとして火あぶりに処された出版業者は、その刑に
処させる前に「1冊しかない」と言っていた奇書が、何故か3冊現存する。

一体どれが偽書なのか。そして、別ルートで依頼されたデュマの『三銃士』
の肉質原稿の調査。奇書と原稿、このふたつが絡み合ったミステリーなの
だが、いかんせん、デュマの『三銃士』を読んだのは遥か昔だし、ヨーロッパ
の古書についての知識がまったくないので少々苦戦した。

それでも謎解きてんこもりで面白く読めたのだが、ジョニー・デップの顔が
ちらつくのと同様、ダルタニヤンの名前が出て来ると映画「仮面の男」で
ダルタニアンを演じたガブリエル・バーンを思い出してしまった。

あぁ…映像に毒されているぞ、私は。汗。

しかし、稀覯本収集に情熱どころか人生を捧げた愛書家というか、愛書狂
の姿には背筋に寒いものが走るな。本書に描かれているある愛書家は、
稀覯本の為に何もかもを捧げているんだもの。

日本でも古書ミステリーはあるけれど、本書はキリスト教文化圏が舞台
なので悪魔崇拝も絡んで来て、古書ミステリーと言うよりはオカルト・
ミステリーなのかな。

主人公・コルソを守る謎の若い女性の存在は最後まで謎のまま。悪魔
を呼びだす奇書で、悪魔は呼びだせたのかなぁ。謎が全部解決して
いないんだよね、映画と同じで。

個人的にはジョン・ダニングの古書ミステリーの方が好きだな。