そして核のゴミが残った

自民党の総裁選に出馬している慎太郎の息子に聞きたいことがある。
福島原発の第一サティアン」ってどこなんだ?

オウム真理教サリン製造施設じゃあるまいし、「サティアン」ってなんだよ?
そりゃ核燃料っていう危険なものがあるけどね。

父親の慎太郎は東日本大震災の時に「天罰だ」とか言っていたし、親子揃って
たわけですか。プンスカ。

『レベル7 福島原発事故、隠された真実』(東京新聞原発事故取材班
 幻冬舎)読了。

福島第一原発事故の新聞連載記事をまとめた作品は数冊読んだが、本書が
一番まとまりがいいかも。

第一部は「福島原発の一週間」とし、事故発生からの第一原発の現場、東電
本店、周辺自治体、官邸の動きをドキュメントで追っている。

第二部は「汚染水との闘い」。原発から溢れ出る汚染された水。それをいかに
止めるか。そして、いかに浄化するかの試行錯誤。

第一部・第二部共に、東電のテレビ会議システムでの現場とのやり取り、
作業員の証言を絡めて迫真のドキュメントとなっている。

第三部は「想定外への分岐点」。これは各種メディアでも取り上げられている
が、大津波の想定がいかされなかった経緯を追っている。

東日本大震災は、地震津波原発事故という複合災害だった。誰もそんな
事が起こるとは想定していなかった。

第四部は「「国策」推進の陰で」、第五部は「安全神話の源流」、第六部は
「X年の廃炉」。

前半の福島第一原発事故の部分は他の作品でも丁寧に描かれている
が、本書は後半の三部が読みどころだ。

原発立地自治体や最終処分場へ名乗りを挙げた自治体への接待攻勢、
日本に原子力発電が誕生する過程、アメリカ・スリーマイル島原発事故
以降の廃炉までの経過を綿密に描いている。

特に日本での原発導入の過程は必読。そもそもの初めから安全よりも
政治的に利用されたんだなぁ、正力松太郎によって。

研究者からは安全性を重視する為に「まず実験炉を」との声が挙がる
ものの、「とにかく早く導入しちゃえ!」って感じだ。

これまで研究者のみにしか公開されなかった資料や、情報公開請求
までして丹念に取材された内容である。

スリーマイル原発廃炉までに10年かかった。福島第一原発廃炉
までに30〜40年とも言われている。

廃炉になっても「核のゴミ」は残る。それは福島第一原発だけではない。
現在、「反原発脱原発」を叫ぶ運動が各地で繰り広げられているが、
原発を停止しても大量に残る核のゴミの問題がある。

そして、商業炉に比較すると規模は小さいが実験炉も各地にあるのだ。
そこから出る核のゴミをいかにするか。原発事故が収束しても、日本に
はまだまだ大きな問題が残っている。