伝言ゲームは失敗する

「白バラのプリンス」。宝塚歌劇団の伝説の男役・春日野八千代
亡くなった。享年96歳は大往生だね。

いつだったか。日舞を踊っている姿を見たことがある。若い頃は知らぬが、
それでもとてつもない存在感があった。

彼女が演じた光源氏は本当に美しかったという。ご冥福を祈る。合掌。

『検証 東日本大震災の流言・デマ』(荻上チキ 光文社新書)読了。

SNSにて、東日本大震災に関連した私の書き込み
に対して「自衛隊員が100人死んだ」とコメントを書き込んだ人がいた。

ソースを聞いたところ、また聞きのまた聞きだった。確証のない風聞は
広めぬ方がよいと注意をしたのだが、何故か逆切れされた。

震災発生直後から、ボランティアで被災地へ向かっているという明らかに
おかしい日記を挙げている人もいた。どこの避難所へ行ったのかを問う
人には答えず、まるで実況中継でもしているようなコメントが延々と続き、
それを煽るような他の人のコメントで溢れていた。

同じSNSのグループでは自衛隊自治体が救援物資を受け付けて
いるとのチェーンメールをそのまま貼りつけていた。

主催者にそれとなく知らせたのだが、しばらくそのまま放置されていた。

ひとつのSNSで私が目にした流言・デマの類がこれだけあった。それが
ツイッターとなったら数え切れぬくらいあっただろう。

本書は東日本大震災の直後からネット上に溢れたデマ・流言を集めて
検証したサイトの書籍化である。

それにしても多いよな。「沢山の人に広めて下さい」とか文言が入って
いるメール等を信じちゃう人。こんなの明らかにチェーンメールじゃん。
昔で言えば「不幸の手紙」の「○日以内に○人の人に同じ文面の手紙を
出して下さい」のパターンだよ。

関東大震災の時だって、「朝鮮人が暴徒化している」なんてありもしない
話で人々の恐怖を煽った。

一時期、政府はネット上のデマを監視・規制する法案を考えたようだ。
だが、ネットという空間は情報が瞬時に多くの人の目に触れるので、
デマが流れればそれを否定する書き込みも必ずなされる。

まずは情報を見極めることだよな。「広めて下さい」は要注意。そして、
「マスコミは報道していないけれど」もかなりな確率で危険だ。

そして関係者から聞いたというインサイダー情報。これならその企業
なり、関係機関なりから正式な発表があるはず。

伝言ゲームってさ、必ず途中で変形してしまうものだから当初の
発言者が言いたかったことが何故か加工されちゃうんだよね。

デマや流言が生まれる過程や加工されて広まる理由、その検証は
参考になるのだが、いかんせんネット上の話だけなんだよな。

きっと被災地へ足を運んだのならもっといろんな話を集められた
だろうに。それと、2011年5月という早い時期の出版も便乗ぽく
みえちゃうのが残念。