ジャーナリストと言う仕事

これまでにも戦争や紛争で、多くのジャーナリストが命を落として来た。
そしてまたもや…なのである。

政府軍と反政府勢力の対立の続くシリアで、女性ジャーナリストの
山本美香氏が銃撃により亡くなった。

同じ現場にいたアフガン・レポートでお馴染みの佐藤和孝氏によると、
政府軍に銃撃されたという。

危険な場所で、その現状を伝える。ジャーナリストの仕事はすぐ隣に
死がある。でも、死んでしまったら何も伝えられないじゃないか。

彼女を含め、これまでに危険地帯で亡くなったジャーナリストたちの
ご冥福を祈る。そして、レポートを続けるジャーナリストたちが無事に
それぞれの故郷へ無事に戻れるようにも願おう。

『情報と国家 収集・分析・評価の落とし穴』(江畑謙介 講談社現代
新書)読了。

情報の収集と分析なんて聞くと、短絡的にスパイを思い浮かべてしまう
単純な頭の持ち主である。そして、スパイと言えば、あの手この手で
機密情報を探り出す格好いい存在…なんていうのは映画や小説の
仲だけのお話。

既存メディアやインターネットには多くの情報が溢れている。そんな
情報の洪水の中から、必要な情報を集めるだけで、様々な角度から
分析が可能であると説くのが本書である。

そして、そうして集めて分析した情報も扱うのが人間である限り、
落とし穴がある。

自分が知りたいと思う情報に目を奪われる。そうなってしまうと、本当に
大事な部分を見落としてしまうのだ。

うん、あるよね。見たいものしか見ないっていう人間の悪い癖。そんで
都合の悪いことはなかったことにしちゃうの。

これが個人の問題ならいいのだけれど、国家となると大問題だ。

本書でも取り上げられているイラク戦争の際のフセイン大量破壊兵器
問題なんていい例だ。

どうしてもフセイン大統領を倒したかったアメリカ・イギリスのミス・リードに
乗っかって、最終的には「アメリカとイギリスに騙されたっ!」って大騒ぎした
デンマークみたいになったら目も当てられない。

情報操作関係の類書でも本書と同じような内容は書かれているが、興味
深かったのは衛星写真のお話。

「これが兵器工場の証拠です」と提示されても実際の撮影状況は不明
だから、発表者の意図でいかようにも利用出来ちゃう。

おぉ、これは騙され易いぞ。映像の方が信じやすいと書かれていたが、
正にその通りだな。

著者の江畑氏は2009年に亡くなっている。分かり易く戦争や戦術、
武器について解説してくれる軍事評論家だった。残念。