技術の進歩か、冥界の使者か

魚屋さんでどじょうをもらった。ごぼうもあるし、今日は柳川にしようと
思って帰宅した。

もらったどじょうをボールに移し、着替えをして台所に戻る。置いたはずの
ボールがない。

食べようと思っていたどじょうは、メダカと一緒に水槽で泳いでいた。
旦那の仕業である。

「見てると可愛いよ。食べちゃうの、可哀想だよ」

という訳で、おかずだったはずのどじょうはペットになった。でも、メダカの
水槽じゃ狭そうなんですけど…。

プルトニウムの恐怖』(高木仁三郎 岩波新書)読了。

チェルノブイリ原発事故も、「もんじゅ」の事故も、東海村の臨界事故も
起こる以前。今から約30年前に書かれた作品である。

主にスリーマイル島原発事故を中心に扱っている。掲載されているデータ
は、当然ならが古くはなっているが一般原子炉、高速増殖炉についての
解説は今でも通用するだろう。

人類が作り出した人工物であるプルトニウムを論じながら、原子力と核燃料
リサイクルについて分かり易く書かれている。

やはり思う。原子力の平和利用とは言うが、それは核の拡散と表裏一体を
なしている。そして、核兵器を作らなくとも原子力施設を狙ったテロの可能性
だってあるのだ。

「さらに、工業国の飽くことなきエネルギーへの食欲は、抑えられなくては
ならない。いったい、電力消費を七年間で二倍にするというようなことを、
我々はいつまで続けられるというのだろうか。
平均的なアメリカ人は、すでに平均的なヨーロッパ人の三倍のエネルギー
を使っており、そのヨーロッパ人は平均的な第三世界の人の約一〇倍を
使っているのだ。それなのに、我々は、もっともっとと叫んでいるのである。」

マンハッタン計画のメンバーであり、その後核廃絶を訴えた物理学者の
言葉である。

宇宙から見た夜の日本は、不必要に明るいらしい。「なかった昔には戻れ
ない」とはよく言うが、現在日本にある原発をすべて廃炉にしたとしても
核燃料は依然として存在する。

冥界の王の名を戴いたプルトニウム半減期は2万4000年である。
そんな時まで、今いる人間は誰も生きちゃいない。もしかしたら、人類
そのものの生存さえ危ういかも知れぬ。

それでも、プルトニウムは存在する。誰が、どうやって安全に保管出来
るのか。保証はどこにもないのだよね。