収束なんかしていない

「次は高浜を再稼働しちゃおうかなぁ」(注:実際にはこんな言い方では
ありません。念の為)。

凄いな〜、関西電力は。大飯がちょっと動いたからって調子に乗って
るだろう。この社長様の発言に先だって、会長様は「原発持ってたら
動かしたいと思うのは当たり前」とか言っていた。

言いたいことは分かります。でも、世論の神経を逆なでしているって
理解しているのかな?

かと思えば東京電力である。とある生協が、福島第一原発の事故で
利用者に届ける産直品に風評被害が出たと賠償を請求した。

「そんなもん、産地を変えればいいじゃ〜ん」

こんなことを言ったもんだから裁判である。そんな簡単に変えられるか?
産地。

原発停止で電力が足りないから計画停電・電力使用制限だと?そんな
もん、火力と水力で補えばいいじゃん。と言われたら、すぐに対応出来
ますかぁ?

もうねぇ、電力様はお馬鹿ちゃんなんだから。

『検証「大震災」伝えなければならないこと』(毎日新聞「震災検証」
取材班 毎日新聞社)読了。

新聞連載の検証記事なので、取材も丁寧になされており、図表も豊富で
分かりやすくまとめられている。

原発事故、トモダチ作戦自衛隊と米軍の動き、大震災発生の当日、
その後に襲った大津波、被災者支援、官邸の動き、学校防災、計画
停電。

注目すべきは学校防災の章である。多くの犠牲者を出した小学校が
あったが、ここでは地震津波に襲われながらもほとんど犠牲者を
出さなかった学校を取り上げている。

日頃の訓練通り、中学生たちは校庭に集まった後に高台を目指して
避難する。避難場所に指定されていた場所も危ないと感じた教師の
指示で、さらなる高台を目指す。生徒ひとりひとりが、同じように避難
して来た小学生と手をつなぎながら。

他にも子供を引き取りに来た保護者に生徒を引き渡すことを拒み、
保護者も一緒に避難を行った学校もあった。保護者に引き渡した
後に犠牲になった生徒・児童が多かったことを考えると、今後の
教訓になるのではないだろうか。

それにしても官邸の動きには何冊読んでも呆れるばかり。菅だけに
勘違いした政治主導を発揮し、末端の現場は混乱の極みだ。

そんな当時の政権にあって、「現場で必要だと思うことはなんでも
やってくれ」と、東北整備局に全権委譲をした大畠国交相(当時)の
決断には救われる。

局長の判断で、被災自治体の首長に連絡要員を送り込んで、
「好きなように使ってくれ」だもんな。これにはやられた。

昨年末、政府は原発事故の収束宣言を出した。しかし、事故の影響は
未だに大きい。東日本大震災は、未だ終わってはいない。