食いしん坊、万歳!

上野動物園でパンダの赤ちゃんが誕生した。小さい、小さい赤ちゃんを
抱える親パンダ。和むわ〜。

上野のデパートでは早速、誕生記念の商品を売り出した。パンダパンか。
食べたいぞ。確かパンダの来園に合わせて「パンダカレー」を売り出した
食堂もあったな。

うぅ…赤ちゃんパンダが見られるのはまだまだ先だけど、上野に行って
こようかなぁ。でも、この週末はえらい人出だろうな。

それにしても東京都知事の慎太郎君はおめだいことに水を差すよね。
「興味ない」ですって。今回の誕生で東京都にはいくばくかのお金が
落ちて、財政が潤うのに…。

おめでたいことにまで政治を持ち込まないで下さいな。IOC委員の接待に
何億円もかかるオリンピック誘致より、パンダで集客のほうがよっぽどいい
と思うんですけど。

『食べるギリシア人 ──古典文学グルメ紀行』(丹下和彦 岩波新書
読了。

食べることが好きである。でも、雑誌やテレビ番組で取り上げられる
行列が出来る店とか、やたら店主がやかましい店とか、ほんの少し
の量しかないのに財布に寒風が吹きすさぶような店には行かぬ。

自分で調理する際にも高級食材なんて使わない。なるべく季節のもの
をその季節に食べる。それが食べ物を美味しく食べるコツだと思う。

食べることが好きだから、本の中に食べ物の描写があると繰り返し
読む。志賀直哉の『小僧の神様』の寿司の描写、池波正太郎
鬼平シリーズ』の食事シーンなんて読んでいるだけで涎が垂れる。

だから本書も無条件で手に取った。ギリシア文学を食べ物から見て
みようだもの。これは読まぬわけにはいかないだろう、食いしん坊と
しては。

ワインを水で割って飲むのは知っていたが、古代ギリシア人は鰻を
食べていたのか。

その鰻の名産地だが、日本なら浜名湖であるがギリシアではコパイス
湖。ペロポネソス戦争の際、アテナイ軍はこの湖のあるボイオティアを
滅ぼすこととなる。だが、女たちは心配する。すっかり滅ぼしてしまって
は困る。鰻だけは助けてやって…と。

そんなに好きだったのか、鰻が。夏場の日本人かよ。

イリアス』の英雄たちの食事に対する姿勢だとか、悲劇には食べる
ことがそもそも出て来ないとか蘊蓄いっぱい。古代のトイレ事情や
庶民の買い物風景も興味深い。

いつの時代でも普段の食事風景は、どんなに高級な料理の話より
興味をそそる。すべての時代の食いしん坊に万歳!