存在そのものがミステリー

今年も民族大移動のゴールデン・ウィークが始まった。カレンダー通りでは
3連休・4連休と分断されているいるのだが、長い人では9連休らしい。

社会人なら有給休暇を利用して…となるのだろう。でも、子供たちはカレン
ダー通りに学校がある。それでも、親と一緒に海外旅行なんて家族が
結構いるらしい。

自分の子供時代では考えられないのだが、親の休みに合わせて子供に
学校を休ませる人が多いそうだ。

そんなものなのかねぇ。子供でもハワイやグアムへ行くのは当たり前の
時代になった。「箱根に行く」が憧れの言葉だった子供時代が懐かしい。笑。

『目には目を』(カトリーヌ・アルレー 創元推理文庫)読了。

4月も終わり近くになって気が付いた。今年は月に1冊、小説を読むと
決めたはず。あわわ…今月はまだ読んでいないではないかっ!

慌てて書棚を書き回し手に取ったのが本書である。海外のミステリーや
ハードボイルドを読み漁っていた10代後半から20代前半の頃、本書の
著者であるカトリーヌ・アルレーフレドリック・ブラウンの作品が大好き
だった。

日本の2時間枠のサスペンス・ドラマの原作としてよく使われるアルレー
なのだが、テレビ・ドラマにしてしまうとかなり安っぽくでがっかりする。

本書の登場人物はたったの4人。破産に瀕した青年実業家とその妻、
皮革業者で冴えない中年男と女医であるその姉。

物語は4人それぞれの独白で構成され、破滅の最終章に収斂されて
行く。

悪女を書かせたら当代随一だと思っているアルレーだが、本書では
女の浅はかさを見事に描いている。

「女とは、同性の美貌や富には羨望や嫉妬を感じても、教養や頭の
良さには、羨望もしなければ嫉妬も感じないものなのだ。」

塩野七生氏が『ローマ人の物語』のなかで書いていたが、アルレー
の作品には象徴的な女で溢れている。

悪女ミステリーの女王であるアルレーなのだが、作者自身、経歴が
一切不詳。現在も作家活動を続けているのか、存命なのかさえも
不明。本人が一番ミステリーだったりするんだよね。