それぞれの愛国心

こ、怖い…。機動隊の訓練の様子をテレビで見ているのだが、
新人の訓練に当たる教官が怖いよ〜。

でも、命がかかっているのだから訓練だって手を抜けないよね。
こうやって日本の治安を守る機動隊員が生まれるんだね。

軽々しく「政治生命を賭けて…」という政治家センセイとは大違いだ。

『決定版 日本のいちばん長い日』(半藤一利 文春文庫)読了。

愛国心。為政者が使うと危険を伴う言葉である。ベトナム戦争の際の
アメリカのニュース・キャスター、今は亡きクロンカイトの愛国心について
の発言を引く。

「だいたい、愛国主義というのはどうやって定義するのか。政府の行動を
すべて盲目的に支持することが愛国的なのか。それとも、一人一人の
国民が、政府の望むところに賛成しようが反対しようが、祖国のために
正しいと思う原理原則にしたがって発言し行動することが愛国的なのか。
(中略)あの反戦運動をしている人たちも、愛国主義者かも知れない。
少なくとも彼らには、自分たちの祖国愛があなたの愛国心と同じように
真摯なものだと信じる権利はある筈だ。そして、その信ずるところを表明
する憲法上の権利もある。この歴史的な国民的議論にあって、彼らの
言い分をわれわれが報道したからといって、それが愛国主義に反すること
になるとはどういうことだ」

昭和天皇の御聖断によりポツダム宣言受諾が決定する。終戦に向かって
様々な手続きに忙殺される政府関係者にも、最後の徹底抗戦を叫んで
全ての兵士に起つことを訴えようとした青年将校たちにも、その胸の内
には「愛国心」があった。

映画化もされたあまりにも有名な作品なので、内容は語るまでもない
だろう。終戦へ向かう日本の1日を綿密に綴った本書は、昭和史入門
としてもいいかもしれない。

向かった方向は異なったが、閣僚も、官僚も、謀反を起こした将校たち
愛国心に動かされていた。そして、玉音放送が流れるその日の朝、
自刃した阿南陸軍大臣も。

昔、亡き祖母が「敗戦と言うか、終戦と言うかで違うのよ」と言っていた。
あの時はその区別が分からなかったが、今はなんとなく分かる気がする。