天才たちの極意

「降りる人が先です」

あぁ…声を荒げてしまった。仕事帰りの駅のホームである。電車が停止し、
ドアが開く。降りる人を待って乗り込むのがマナーだろう。

それなのに、何故、我先に乗り込もうとするのか。若い人や子供たちでは
ない。降りる人を無視していたのは高齢の方々である。

降りようとしていたサラリーマンのお父さんたちが困っていたではないか。
なんでこんな簡単なマナーさえ守れないのだろう。

誰だって席が空いていたら座りたい。その気持ちは分かるが、最低限の
マナーくらいは守ろうよ。情けないよ、日本。シクシク…。

『サービスの天才たち』(野地秩嘉 新潮新書)読了。

店舗改装で喫煙席がなくなってしまったので最近では立ち寄ることも
なくなったのだが、仕事へ行く前にファスト・フードで一服していた。
そこの店員さんは早朝の常連客の注文品をよく覚えてくれていた。

夏場はアイスコーヒー、冬場はホットコーヒーを頼んでいた。砂糖は不要。
それをきちんと覚えていてくれて、いちいち言う必要がなかった。スマイル
0円だけど、こんなサービスも0円なんだよな。

本書で取り上げられているのは、床屋・キャディ・マッサージ師・タクシー
ドライバー等、客に心地いいサービスを提供している人たちだ。

相手の立場になってみる。サービスの極意はここにあるのだと思う。
しかし、これはなかなか難しい。私自身、電話対応という仕事の中で
本当にお客様の立場になっているかと問われたら、大きな疑問符が
つく。

なかでも千葉県にあるゴルフ場の話は為になった。メインで取り上げられ
ているのはキャディさんなのだが、過剰なサービスは嫌らしいという
このゴルフ場全体の考え方がいい。

いるよね、サービス業に携わる人でお節介を焼くのがサービスだと
勘違いしている人って。やたら話しかけて来る美容師とか、自由に
商品を見せてくれないショップ店員なんてその典型かも。

お客様にリラックスしてもらう。これがサービスの根底にあるものな
のだよね。しかし、怒り狂って電話をして来るお客様にリラックスして
もらうのはかなり難しい。精進しなきゃ。笑。