最大のパニック

「○○りくばしですね」なんて声が隣りから聞こえて来た。派遣先での
仕事中である。

りくばし?リクガメなら知ってるぞ。子供が背中に乗れる大きなカメさん
だ。えっと…「陸橋」のことを言っているのか?それなら「りっきょう」な。

そうかと思えば、後ろの席からは「すみつつみ通り」なんて声が聞こえて
来た。う〜ん…「墨堤」と書いて「ぼくてい」って読むのだけどな。

忙しかったので放っておいた。突っ込んだ方がよかったかなぁ。笑。

『プロメテウスの罠 明かされなかった福島原発事故の真実』(朝日新聞特別
報道部 学研)読了。

新聞の連載記事だけあって読み易く、理解し易い。被災者、政治家、官僚、
研究者のそれぞれに丁寧な取材も行っている。でも、東京電力は取材拒否。

福島第一原発事故の発生前夜から、その後の事故対応を様々な観点から
検証している。ただし、官邸の対応については本書をそのまま鵜呑みにに
は出来ないが。

でも、おかしいじゃないか?当時の首相・菅直人SPEEDIの存在自体を
知らなかったって…。日本国の緊急事態時の最高責任者だぜ?どうして
そんな人物に、必要な情報が提供されないのか。

危機管理センターには原子炉の設計図もなく、保安院も安全委員会も
放射能拡散予測を伝えない。

東日本大震災では被災された方々に必要な情報が届かないことが大きな
問題になった。しかし、日本の中枢にさえ最低限の情報が集まらないって
のは異常だろう。

先日、NHKスペシャルを観ていたら「住民がパニックを起こすから」との
理由で段階的に退避区域を広げたことの言い訳をしていた人がいた。
パニックになっていたのは危機管理センターではなかったか。

尚、こんな官僚・政治家を尻目に正しい情報を集めようとした研究者が
いたことを忘れていはいけない。それなのに気象庁気象研究所には
なんの根拠もなく50年以上続けて来た放射能観測中止が申し渡される。

誰が、何の為に、中止を決めたのか。判然としないところが、責任を
取らない日本の官僚の体質ってところか。この第3章だけでも読む
価値あり。

尚、本書は朝日新聞の連載で今も続いている。不思議なのは同新聞社
は出版部門もあるはずなのに、発行元が学研なのだ。う〜ん、系列に
テレビ朝日があるから?テレビ局の最大スポンサーが電力会社だから
気を遣った?な〜んて深読みしてみた。

ところで、朝日新聞もそうだがメディアはメディア自身の震災・原発報道
の検証をしてみてはどうだろう。