歴史あり

子会社から借りたお金をギャンブルにつぎ込んだのに、「投資に使った」
と噓までついていた製紙会社の御曹司。以前、梨園の御曹司が事件を
起こした時にも思ったのだが、「この親にしてこの子あり」なんだな。

ギャンブル散財事件を受けて、オーナー一族の大番頭と言われた人が
新社長に就任したのだが、ギャンブル息子のパパはお気に召さない
ようだ。

おいおい、会社の金は一族の金とでも勘違いしてるんじゃないのか。
だから息子がどうしようもないことをしたんだろう。親が逆切れして
どうするよ。

きっとこの一族、反省なんかしてないぞ〜。梨園の御曹司のパパと
一緒だな。やれやれ、私ら庶民には理解出来ない世界にいるんだな。

『クラシックホテルが語る昭和史』(山口由美 新潮文庫)読了。

アイスホッケーの日本リーグが健在だった頃、シーズン中に2〜3回は
日光を訪れていた。

社会人になりたての頃、試合終了後は日光を代表するホテルである金谷
ホテルを横目に見ながら、電車に揺られて宇都宮のビジネスホテルへ
向かった。

「絶対、いつか泊るんだ」。そんな願いが叶ったのは30代を迎えようと
する頃だった。一番安い部屋だったけれど、猫足のバスタブに浸かって
夢を叶えた喜びを噛み締めた。

ロビーに足を踏み入れるだけで、少々気負ってしまう。私にとってクラシック
ホテルはそんな場所である。そのクラシックホテルが遭遇した戦中・戦後を
綴ったのが本書だ。

大英帝国との和平工作に動いたのが吉田茂白洲次郎なら、アメリカとの
和平工作には近衛文麿重光葵が出馬。舞台となったのは箱根・富士屋
ホテルと帝国ホテルだ。

この辺りは他の作品でも少々齧っているのであまり目新しい話はなかったが、
奈良ホテルがフィリピン亡命政府と関連があったとは知らなかった。宿泊した
ことはないが、足を運んだことがあるだけにラウレル大統領の胸像が置かれて
いたのに気付かなかったのは残念だ。

他にも軽井沢の万平ホテル、満州のヤマトホテル等を取り上げ「ホテルが
見た戦争」を描いている。

単行本の時のタイトル『消えた宿泊名簿 ホテルが語る戦争の記憶』を
改題しての文庫化なのだが、読了して見ると単行本の副題を文庫の
タイトルにした方がしっくりしたかも。

最終章の、母への思いを綴った章は秀逸。これだけでも読む価値あり。