人間はいいものかもしれない

今上天皇の心臓バイパス手術が、無事終了した。よかった、よかった。

皇后陛下は昨日から東大病院に付き添い、今日は降嫁された長女の黒田清子さんが
手術終了を待つ皇后陛下に寄り添った。

やっぱりこういう時に母親と一緒にいるのは、嫁いだとはいえ女の子なんだね。

来月の東日本大震災の追悼会にご出席を望まれている陛下、一日も早いご回復を
お祈りする。

尚、私は右寄りの思想はお持ち合わせていません。念の為。笑。

『手袋を買いに』(新美南吉 小学館文庫)読了。

今年の目標は「月に1冊、小説を読むこと」。先月は20年以上振りにラテン文学の
名作『蜘蛛女のキス』を読んだ。

そして、今月は本書である。え?小説か?って。いいのです、私の中では児童文学
は立派な小説なのです。

小学生の頃によく読んだのは、学校の図書室や市の図書館で借りてきた伝記や
人名事典だった。なので、子供の頃に童話を読んだ記憶は少ない。

その数少ない記憶に残っているのが、新美南吉である。『ごんぎつね』なんて
何度、読み返したかしれない。

本書の収録作品の中にも狐を題材にしたものが多い。特に表題作である『手袋を
買いに』は、お母さん狐の最後のセリフ「ほんとうに人間はいいものかしら。
ほんとうに人間はいいものかしら。」を読んで、「ひどいことをしてごめんなさい」
なんて謝った覚えがある。あぁ、あの頃は純粋だったのだな、私も。笑。

動物と人間、大人と子供、都会と田舎。新美南吉のテーマに多いものだ。そして、
根底には人に対する優しい視線や温かい気持ちが流れている。

本書は大人向けの文庫なので挿絵がないのが残念。児童文学はやはり挿絵と一緒に
楽しみたい。

あぁ、新刊書店の絵本コーナーに走り出しそうな衝動と闘わなければ。汗。