冒険者たち

罰金1000ルーブルである。我が旦那が祖国で何かをやらかした訳では
ない。愛しのワロージャ、ロシアのプーチン首相が罰金刑なのである。

来月に大統領選挙を控えているロシアである。大統領返り咲きを狙う
我がワロージャの集会に、多くに支持者が集まった。なんと罰金の
原因はこの集会だ。

警察に届け出た人数を上回る人数が集まった為だそうだ。罰金刑となった
ご本人、「こんなに集まってくれて嬉しい」と語り、既に支払いも済ませた
とか。

ニコニコしながら支払ったんじゃないだろうな。その方が怖いぞ、ワロージャ。
尚、1000ルーブルは日本円で約2,500円である。

『世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ』(下川裕治 新潮文庫
読了。

「カルスに一泊して、そこからイスタンブールへ」
「飛行機で?」
「いや、列車です」
「それはアドベンチャーだ」

トルコ入国の際の著者とイミグレーションの会話である。このイミグレーション
の言葉通り、「列車旅」といいながらそれは限りなくアドベンチャーなのである。

ロシア極東からポルトガルへ。えっちらおっちら列車を乗り継ぐ旅は、数々の
不測の事態に見舞われる。

ロシア領内では列車の接続に長時間が掛かり、中国には入れば列を作ると
いう概念がない中国人と販売窓口で押し合いへしあい。

コーカサス地方に入れば爆破テロで前を走る貨物列車が脱線・横転。乗る
はずだった車両が接続されていなかったり、2ヵ月前までは運行していた
列車が廃線になったり。そして、あわやビザ切れの最大のピンチも襲う。

これ、絶対に「旅」じゃないっ。もう冒険の域である。

同じ著者のアジアハイウェイ1号線をバスで踏破した記録も読んだが、あれは
ひたすらバスに揺られる辛い旅だった。こちらは列車の待ち時間に降り立った
街を歩いたりしているので、各地域の歴史的背景も記されている。

以前、ロシア極東からモスクワまで1週間をかけてシベリア鉄道で旅をした
ことがあった。はじめこそ、車窓から眺めるロシアの平原の雄大さに目を
奪われたが、行けども行けども平原の風景に飽きたっけ。

著者も本書の中で書いているが、現在は移動にスピードが求められる時代。
車で、飛行機でが当たり前になっている。そんな今だからそ、いつかなくなる
かもしれない鉄道の旅をしてみたくなった。

ただし、本書のようなアドベンチャーまでする気はないけれど。笑。

もう一度、シベリア鉄道に乗りたいな。