増長一途

仕事帰りに何の気なしに立ち寄った新刊書店で立ち竦む。そこは
新刊や新聞の書評欄で取り上げられた本が並ぶ棚。

あぁ、これはどういうことだ。分厚い大型本が鎮座しているではないか。
それも「手に取ってみて〜☆」と私に呼び掛けているではないかっ!
(幻聴という話もあるが)。

背表紙に堂々と書かれたタイトル。それは『南方熊楠大辞典』。

勿論、手にしましたとも。ずっしりと重い本は、隅から隅まで知の巨人・
熊楠先生が溢れている。

欲しい…。裏返して値段を確認する。そして、ゆっくりと棚に戻す。
喉から手が出るほど欲しい本は、9,800円也。今月の新刊書籍購入
予算を大幅に超えてしまう。

またいつか会おうね。それは古書店の棚かもしれないけれど。そして
泣く泣く新刊書店を後にして家路についたのであった。シクシク…。

『異形の大国 中国─彼らに心を許してはならない─』(櫻井よしこ
 新潮文庫)読了。

そのソフトな語り口とは裏腹に、バリバリの右…否、超保守派の論客の
著者である。テレビのコメンテーターとして出演している時は、あの口調
なので聞き流してしまうことも多いのだが、読むという行為は著者の思想
を考える時間を与えてくれる。

「隣に中国という国が存在することは、天が日本に与え給うた艱難である」

この記述だけで大いに笑える。まぁ、笑っている場合じゃないくらいに中国
による世界征服は着々と進んでいるようなのだが。

日本のODAでアフリカの資源を買いまくり、その同じアフリカの国々に武器を
与える。アジア諸国とは領土問題を引き起こし、日本を抑え込む為に先の
大戦を持ち出す。その為の歴史の捏造なんて当たり前だ。

日本の教科書問題や歴代首相の靖国参拝にイチャモンをつけて、中国国内
反日感情を煽る。周期的に中国国内で持ち上がる反日運動なんて、もう
恒例行事だよね。

日本外交はこんな中国に毅然と対応しなくてはいけないというのが著者の
言いたいことなのだろうが、引用されている資料の偏りを考慮に入れると
まるごと信じるのは危険な気がする。

それでも、中国という国はやっかいな隣国に変わりはない。そんな中国を
つけあがらせた責任の一般は現政権にもあるだろうな。

なんせ、尖閣諸島沖で発生した中国漁船による事件をうやむやにしたの
だから。あんなことをしてしまったから、ただせさえならず者国家なのに
増長しちゃったんじゃないのか。

そういえば、毒入り餃子事件でも結局は日本に謝罪してないよな、あの国…。