理想の世界は作れるのか

政治家であるのなら、自分の言葉で語って下さい。「ネバー、ネバー、ネバー・
ギブアップ」ってさぁ…。

そりゃ第二次世界大戦の時の英国首相、ウィンストン・チャーチルだろう。
あちらは大英帝国の最大の危機に際してだぞ。

歴史に名を残したチャーチルと、日本人からも忘れられそうなどじょう首相じゃ
大違いだろう。チャーチルに詫びとけ。ついでに「マニフェストはサギフェスト
でした」と有権者にも詫びろ。

『戦争の世紀を超えて その場所で語られるべき戦争の記憶がある』
姜尚中/森達也 集英社文庫)読了。

いや〜、なんで年明け早々からこんな重たいテーマで内容の濃い本を選んで
しまったのだろう。もう、四苦八苦、七転八倒しながら読みました。

古代から現在まで、地球上に戦争がなかったことはない。なかでも20世は
「戦争の世紀」と言われるほど、大規模な戦争が続いた。

アウシュヴィッツで、38度線で、市ヶ谷で。二人が語る戦争についての
内容は、私のなかでは半分も理解出来てはいないだろう。

でも、分かることもある。ゲシュタポ皇軍兵士も、ひとりひとりは皆「普通の
人」なんだ。それが集団になると、とんでもない暴走をしてしまうんだよね。
集団ヒステリーの一種か。

本書の中では38度線で語られた朝鮮戦争と、北朝鮮についての話が興味
深かった。昨年、北の暴れん坊将軍様が死去した際の、周囲の反応について
の気持ち悪さが何なのか。森氏の言葉で納得が行った。

尚、イスラエルユダヤ人)を例に取り、被害者=聖域ではないって話には
大いに頷く。ホロコーストだけがクローズアップされているが、核保有疑惑
としては北朝鮮と同じレベルなのに、どうしてイスラエルだけ特別扱いなの
だろうねぇ。そして、その被害者意識に簡単に共鳴する人間の心理。これは
結構、怖いものがある。

「戦争のない世界」、実現する為には多くの難問がある。でも、他者に対する
想像力があれば争いは減らせるのではないだろうか。