推薦図書

夏休みが近づくと、文庫各社の「夏の100冊」フェアと共に新刊書店の
店頭を飾るのが小中学生向けの推薦図書だ。

あれって、文科省が決めているんだっけか?子供の頃、この手の本には
縁がなかった。好んで図書室から借り出していたのは伝記や人名事典
だったものなぁ。

さて、人事院である。国家公務員の人事管理などをするお役所である。
その人事院が若手官僚に向けての推薦図書リストを作ったとか。

ざっと目を通したのだが古典がずらりと並んでいる。古典を人材育成に
活かそうという講座あったことから、今回のリスト作りに発展したようなので
致し方ないか。

「古典を読ませれば研修になるという人事院の感覚がずれている」

通産省を辞職した古賀茂明氏のコメントに笑った。まったく同感である。
古典文学作品で素晴らしい人材が育成出来るのであれば、私の周囲
には官僚を超える人材が豊富にいるはずだ。

推薦図書リストの作成は今回が初めてだと言う。人事院、暇なのか?

『文豪たちの手紙の奥義 ─ラブレターから借金依頼まで─』(中川越
 新潮文庫)読了。

漱石、鴎外、露伴、白秋、茂吉…24人の文豪の手紙を、テーマ別に
紹介している。

手紙の書き方指南書にしたかったのか、文豪ミニ評伝にしたかったのか。
いささか中途半端な作品になってしまっているのは残念。

でも、その手紙が書かれた時の文豪たちの背負っていたものや心情を
しるにはいいかも。

発表された時にセンセーションを巻き起こした斎藤茂吉のラブレターは、
今読んでも結構な衝撃だな。

個人的には鴎外が子供たちに出した手紙が好き。父親としての鴎外の
愛情がひしひしと伝わって来る。