繰り返される悲劇
TPP問題で政権与党が真っ二つになりそうな日本なのだが、お隣の
中国は参加意欲満々のようだ。
先日の中国政府担当者の記者会見で「誰も中国に参加を呼び掛けない
ぞ。こらぁぁ」と言っていた。
TPP賛成派の日本の国会議員センセイたちは中国が羨ましいだろうな。
日本国首相のどじょうさんは10日には態度を表明すると言っていたが、
果たしてどうなるのだろう。
週末にはAPECだろう。お土産なしで参加は出来ないだろうな。先日の
G20で消費税の国際公約をしたものの、ギリシャ問題でかき消され
ちゃったしねぇ。日本の存在感はどんどん薄くなりそうだな。
さすがに名ルポルタージュ『自動車絶望工場』の著者だけあって、
労働者目線の描写は胸に迫る。
メインで取り上げられているのは夕張と三井三池。三池大争議なんて、
若い世代ではもう知らないんだろうな。
明治の昔から日本のエネルギー政策を担った炭鉱では、事故が続き、
多くの犠牲者を出して来た。それは炭鉱を所有する大資本ばかりの
せいではない。
監督官庁の指導不足は勿論、労働組合の弱体化も現場での安全管理
をおろそかにした一因である。
似ていやしないか。石炭から原発へとエネルギー源は変わったとはいえ
現場の労働者の安全性の軽視は。
坑内でのガス噴出事故で一酸化炭素中毒になり後遺症に苦しむ人に
下された診断が、「災害神経症」ってなんだよ?
「憎いのは石炭じゃないんです。石炭を牛耳ってきた人間です」
労働組合から「モノトリ主義」と非難され、婦人会から除名されながらも
夫と家族の為に、大三井に対し裁判を起こした女性の言葉だ。
日本の高度経済成長を、文字通り地下で支えた労働者たちの歴史は
忘れてはならない。◎な良書だ。