斬り〜

精神科医で作家。北杜夫が亡くなった。享年84歳。エッセイの楽しさは、
この人の「ドクトルマンボウ」シリーズで教わった。ご冥福を祈る。合掌。

原発文化人50人斬り』(佐高信 毎日新聞社)読了。

バッサバッサ斬りまくっている。御用学者ばかりでなく、電力会社のCMに
出演して原発安全神話に加担したタレントまで斬りまくりである。これぞ、
佐高信の本領発揮である。気持ちよ過ぎるくらいだ。

日本に原発を持ち込んだA級戦犯中曽根康弘は勿論、デタラメと呼んだ
方がしっくりくる斑目委員長、原発反対派の応援演説に立つはずだったのに
推進派から大金を積まれてさっさと鞍替えしたアントニオ猪木とか、いろいろ
である。

中島みゆき関西電力原発CMに曲を提供していたのは、気が付かなかった。

「課長・島耕作」の漫画家・弘兼憲史の批判に出て来る、漫画家・みうらじゅん
エピソードが面白い。

東京電力から四コマ漫画を描いてくれと依頼されたみうらじゅん。そのギャラ、
500万円以上。でも、みうらじゅんはこの仕事を断る。

「僕みたいな奴にたくさんギャラをくれるのは怪しいじゃないですか」

電車の中で大笑いするところだった。

品なく小気味よい斬れ味なのだが、福島原発以降に性急に企画した本
なのだろうなというのが分かる薄さ。メディア批判もしているが、もう少し
時間を掛けて深い作品にしてくれればよかったのにな。