神話など存在しない

原発事故発生後の手順書について、東京電力は知的財産の保護を理由に
公開を拒んで来た。それが個人名を伏せての公開となった。

事故発生当初から言われていたことではあるが、全電源喪失については
全く想定されていなかった。やっぱりな…という感じである。

「どんなことがあっても安全です」。そんな風に宣伝しまくって来たはずだ。
でも、一番重要なことは考えもしていなかった。

何度でも言う。「安全神話」なんてありっこない。ジャンボジェット機の事故を
持ち出すまでもないだろう。どんなに進歩した科学の下に設計されていても、
「絶対」なんてないんだから。

事故発生の状況は異なるとは言え、スリーマイル島チェルノブイリの事故は、
日本ではまったく教訓にされていなかったのだろうな。

チェルノブイリ事故の際は「日本では考えられない」という論調が多かったもの。

ギリシアローマ神話北欧神話、日本神話は好きだけど、安全神話だけは
いただけません。

『1989年の因果 昭和から平成へ時代はどう変わったのか』(保坂正康
 中公文庫)読了。

う〜ん…これは評価が難しい。1989年に何が起こっていたかを振り返るには
いいのだが、その批評がほとんど著者の愚痴のようになっているのだが。
それもかなり辛辣な愚痴である。

消費税導入で自民党が大敗し、社会党が大躍進。なんだか政権交代した
時の民主党とダブるよな。結局は政権運営が出来ませんでしたっていう
オチまで。笑。

尚、本書は昭和天皇の戦争責任にも言及している。その部分は、さすがに
昭和史の大家。冷静に分析していて、こういう捉え方もあるのかと感心。