妖精のいたずら

目が覚めてまずやることは、枕元に置いた眼鏡をかけること。極度の近視に
加えて近年は老眼も入っているので、眼鏡は手放せない。まぁ、家の中だけ
なら裸眼でも歩けるのだがないと不便なのである。

それが今朝に限って、見え方がおかしい。右目だけ焦点が合わぬ。何〜、
7月にレンズを新しくしたばかりだぞ。それに一晩でこんなになる訳がない。

さては…眼病か。え〜、どうしよう。眼科へ行くとなったら半日仕事だぞ〜。

焦りまくっていたら、旦那が目を覚ましたらしい。事情を話すと、不思議な
顔をしてこちらを見ている。

「レンズ…はずれてますけど」

へ?眼鏡をはずして見直す。うん、これじゃ焦点が合わないはずだよね。
レンズを留める小さなねじが緩んでいたのか。ねじと共にレンズが枕元に
鎮座していた。

行きつけの眼鏡店の開店時間を待って、駆けこんだのは言うまでもない。

朝から大騒ぎしちゃったな。でも、まさかレンズがはずれていたなんて
思わないものなぁ。きっと妖精さんがいたずらしたんだろう。

『字幕の名工 秘田余四郎とフランス映画』(高三啓輔 白水社)読了。

フランス映画と言えばアラン・ドロン…でもあるのだが、それ以前の私の
スターはジェラール・フィリップなのである。そのジェラール・フィリップ
主演の映画の多くも、秘田氏の字幕だったのか。

高見順はじめ、昭和を代表する文化人たちとの交流や、破天荒な生き方は
面白くはあるのだが、本人よりも日本への外国映画の普及に貢献した
川喜多長政の方に興味を惹かれた。

尚、本書にはフランス語原文の台詞が秘田訳と併記されているのだが
相当に誤記が多いようだ。別刷りで正誤表がついてるものな。

白水社、決して安い本じゃないんだから校正くらいはきちんとやってくれ。