孤独な闘いへ

発言が原因で組閣早々閣僚が辞任したと思ったら、今度は民主党会派
所属の議員が携帯電話で天皇陛下を撮影したとかしないとか。

自民党は国会で追及する方針らしい。でもさ、なんでこんな瑣末なことに
拘るんだ?何度も言う。もっとやるべきことはあるだろう。

それに、攻めるのであれば口先番長・前原のワシントンでの発言の方が
追及しがいがあると思うのだがね。庶民と政治家センセイとは、アンテナに
引っかかる部分が違うようだ。

ローマ人の物語38 キリストの勝利[上]』(塩野七生 新潮文庫)読了。

6歳で父を失い、20歳まではほぼ幽閉生活。兄のガルスがコンスタンティウス
帝の副帝になってからは多少の自由は認められたものの、軍務にも政務にも
無縁な哲学を学ぶ学究の徒の生活だったユリアヌス。

副帝であったガルスがコンスタンティウスにより、謀反を企てたというありも
しない罪で殺害されてのち、唯一残った皇帝の肉親として副帝となる。

そんなユリアヌスにコンスタンティヌスが与えた任務は、既に防衛線さえ
ずたずたになったガリア地方の再興だった。なんとこれが上手くいって
しまう。軍装姿で兵士たちの前に初登場した時には、その似合わなさに
兵士たちは笑いをこられるのに必死だったと言うのに。

プラトンアリストテレスの弟子を自認しているわたしに、今やっている
以外のことができると思うかね。わたしに託された不幸な人々を、見捨てる
ことなんてできると思う?彼らに幸せな日常を保証するのは、今ではわたし
の責務なんだ。わたしがここにいるのは、それをやるためなんだ。(後略)」

軍事でも政務でも相談役でもあったサルスティウスの転出等、皇帝からの
嫌がらせを受けながらも、ユリアヌスは強烈な責任感でガリアを再興する。

ガリアには、150年振りにローマの誇った安全保障が復活する。そして、
ユリアヌスにはこの先、新たなる孤独な闘いが待っているのだ。