最後の砦

JR北海道の社長が行方不明だとか。咄嗟に思い浮かんだのは下山事件
だった。でも、今回はご本人の書き置きが残されていたので、事件性は
ないらしい。

トンネル内での列車の脱線火災事故の処理で心労がたまっていたのでは
ないか…との話もあるようだが、失踪しても何も解決しないと思うのだが。

ご家族だって心配しているだろうになぁ。早く戻ってくればいいのに。

ローマ人の物語38 キリストの勝利[上]』(塩野七生 新潮文庫)を読み
始める。

「ミラノ勅令」によりキリスト教を公認し、絶対専制君主制を確立し、首都
ローマをないがしろにして、コンスタンティノポリスに新都を建設した
コンスタンティヌス帝は25年の治世の後、ペルシア戦役へ赴く途上で
病没する。

死・の2年前、コンスタンティヌス帝は自分亡きあとの帝国の統治を実子
である3兄弟と甥ふたりの、5人で統治するよう分担地域を決めていた。

自分が帝位に就いたのは4頭政が原因の内乱を勝ち抜いたからだった。
この内乱の芽を摘む為のシステムだったが、見事に裏目に出る。

そりゃそうだよな。4人でも上手くいかなかったのに、ひとり増えてるのだ
ものな。しかも全員、肉親。骨肉の争いのほうが、血腥くなるものだ。

まずはコンスタンティヌス帝の葬儀の際に甥ふたりが殺害され、次は
長男と三男の争い。長男を倒した三男は、配下の将兵に反乱を起こされる。

たったひとりの最高権力者になったのは、次男のコンスタンティウス。
しかし、元来小心者で疑い深いコンスタンティウスは、自分の右腕になった
であろう人々を、次々と粛清して行く。

そして、最後に副帝として登場するのがユリアヌスである。キリスト教史観
では「背教者」と呼ばれる人であるが、ローマが既にローマでなくなった
この時代の「最後のローマ人」なんだよな。