かくも長き不在

第一報は「ロシアで旅客機が墜落」。それだけだった。まさかアイスホッケー・
チームの選手・関係者を乗せた旅客機だったとは…。

この事故を受けて、ロシア国内ではリーグの開幕戦が中止。そして、本日の
我が家は深い哀しみに沈んでいるのであった。

亡くなられた方々のご冥福を祈る。合掌。

ローマ人の物語34 迷走する帝国[下]』(塩野七生 新潮文庫)読了。

ガリアとパルミラが独立したことで、広大な属州を持ったローマ帝国の領土は
3分された。この時期、ローマ皇帝として就任するのは、叩き上げの軍人皇
たちである。

蛮族やオリエントの君主国の侵攻を防ぐ為、ローマ軍の最高指揮官である
皇帝たちは首都ローマに留まることが出来ない。

その中でも特筆すべきはアウレリアヌス帝だ。ペルシア王の策略によって
捕囚となったヴァレリアヌス帝により抜擢された属州の辺境出身の人材だ。

蛮族とオリエントの君主国に対し、ローマの反攻が開始される。注目は
クレオパトラを気取ったパルミア女王・ゼノビアとの対決である。

アウレリアヌスは、女王ゼノビアにローマに降伏すよう手紙を書き送る。
それに対しゼノビアは「私はオリエントの誇り高き女王よ。なんで皇帝が
捕囚になったローマになんか降伏しなきゃいけないのさ。こっちには
ペルシアが援軍を送ってくれるし、アラブ人だってアルメニア人だって、
私の味方よ。堂々と戦場で決着をつけようじゃない?」と答える。

この勘違いした傲慢さで、開戦決定。ペルシアからの援軍は来ず、アラブ人も
アルメニア人も、既に他の蛮族を撃退し、以前の武勲を取り戻したローマ側に
なびいいていた。

戦闘には、兵士の数だけではなく情報も大切だということに無知だった
ゼノビアの完敗である。

アウレリアヌス帝の疾風怒濤の軍略で、ローマ帝国は再び帝国としての
再統合がなった。これで安泰…と思ったところで、皇帝付きの秘書の
どうしようもない思い込みで暗殺される。

「アウレリアヌス時代の帝国は幸福であり、市民からは愛され、兵士たち
からは尊敬され、敵からは怖れられた」。

この人の治世がもう少し長かったら、帝国の崩壊はもう少し遅れたかもしれない。