絶頂期

首相指名選挙も終わり、どじょう首相が誕生した。注目はこの選挙の
投票結果だ。誰だよ、「小沢一郎」って書いたの。なんて思って新聞を
読んでいて、より一層の驚きである。

鳩山邦夫 1票」。こらこら、受け狙いか?ま、まさか邦夫さん、自分で
自分に投票したんじゃ…。謎の1票だよ。

さて、人材不足の日本政界。そのなかでも存在感さえ薄くなっている
社民党が、すっから菅にラブコールだそうな。落ちたもんだよな、
社民党も。おたかさんが議長だったあの頃が絶頂期か。

ローマ人の物語29 終わりの始まり[上]』(塩野七生 新潮文庫)読了。

五賢帝の続きである。ピウス帝の治世と並行して、次の皇帝であり後に
「哲人皇帝」と呼ばれることになるマルクス・アウレリウスの生い立ちを
追っている。

「慈悲深き人」ピウス帝の治世は穏便に過ぎ、ハドリアヌス帝の遺志の
通りアウレリウスが帝位に就く。しかし、彼が元老院に申し出たのは
同じくピウス帝の養子となり、義弟となったルキウス・ヴェルズとの
皇帝2人制だった。

トライアヌスが強化し、ハドリアヌスが再構築し、ピウスが維持した
ローマ帝国の平和と繁栄に、ふたりの皇帝の登場から影が差し始める。

ローマに何かある度にちょっかいを出しては叩きのめされ、その度に
「もうしません。仲良くするよ〜」という行動を繰り返していた東方の
君主国パルティアが、懲りもせずに蜂起する。

このパルティアを攻略したと思ったら、今度は北の防衛線からの蛮族の
侵攻が始まる。

あまりにも平和な知性が続いたせいか、アウレリウスもルキウスも、
ローマの為政者階級につきものだった軍団生活を経験していない。
そもそも、先帝ピウスもローマに居ながらにして帝国を統治している。

これも時代の変化なのか。生来、病弱で指揮を執れば連戦連敗。
「助けて〜、アグリッパ〜」だった初代皇帝アウグストゥスでさえ
軍団生活を送っている。

戦略を知らぬ者の弱点を持ったアウレリウスは、パルティア戦役で
敗北の責任を取って自死したカッパドキア属州総督の代わりを、
ブリタニア属州総督を派遣することにする。

現代の国で言えば、イギリスからトルコに、船と馬だけで移動させる
ことになる。著者じゃないが、「それ、他に人材いないのか?」と
突っ込みたくなるんだが…。

さて、東方と北方の防衛線の危機以外にも、洪水・飢饉・疫病と、
次々と困難な出来事がアウレリウスを襲う。その間にも、同僚皇帝で
あったルキウスが病死。

絶頂期にはその後に控えている崩壊の足音が遠くから聞こえていたって
ことなんだな。