庶民は知っている

「誰が好きとか嫌いとかいう政治は、乗り越えないといけない」

ドリフのコントじゃないが、誰か仙石由人の頭に特大の金ダライを
落としてくれないだろうか。

ローマ人の物語21 危機と克服[上]』(塩野七生 新潮文庫)読了。

「中と下の層が充分に機能していれば、少しばかりの間ならば上層部の
抗争で生まれた弊害も吸収可能、ということでもある。」

日本の現状ではない。2000年昔のローマ帝国である。ネロ亡き後の
帝国ではわずか1年の間で3人の皇帝が倒れる。

まずはガルバ。とっとと首都ローマ入りをすればいいものを、ぐだぐだしている
うちに権威を表わす時期を逸する。そして、次ぎに立ったのはネロの遊び仲間
でもあったオトー。

しかし、「やっぱガルバじゃ駄目だ。ヴィテリウスにしようっと」と決めた軍勢が
南下する。

そして、首都ローマを舞台にした内乱が始まる。どうしようもなくグダグダな1年
なのである。それでも、市民は多くの兵士の血が流れた市街戦さえ娯楽であった
剣闘士試合のように楽しんだ。何故か?

「民衆は察知していたのだ。意識はsなかったにせよ、どちらが勝とうと変わる
のは皇帝の首だけであることを、彼らは知っていたのである。それに、何度も
変わればそのうちに、自然に淘汰された結果にしろ、少しはマシな「首」が
皇帝の座を占めるようになるであろうことも、庶民の智恵でわかっていたに
ちがいない。」

現状の日本と錯覚しそうな記述だ。ローマ帝国はこの後、ヴェスパシアヌス
帝位に就いて一応は落ち着くのだが、日本は…。はぁ…。