皇帝と言う名の道化

まったく反省してない。それどころか、言い訳のオンパレード。医師免許もなしに、
被災地で医療活動を行ったニセ医者である。

「必要としている人がいるのに、医者が足りなかったから」と、まるで自分が英雄
のように語っているのを聞いて呆れた。

本当にボランティア精神が高じての行為であるなら、何故、助成金の申請をした
のか?おまけに自分を取り上げたマスコミを批判する始末。

こういうの、病気の一種なのかもしれないね。

ローマ人の物語20 悪名高き皇帝たち[四]』(塩野七生 新潮文庫)読了。

「誰のおかげで皇帝になれたと思っているの?ママのおかげでしょう」

母親から始終、こんなプレッシャーをかけられていたらネロでなくても母親を
疎ましく思うだろう。

名門出身でも女性の地位が低かった時代、ネロの母である小アグリッピーナ
受け継いだ血筋だけで自分にも帝国を統治する権利があると思い込んだ。

夫であるクラウディウス帝を殺・害してまで息子ネロに帝位を継がせ、皇帝の母
という地位から広大なローマ帝国を支配しようとした。しかし、ネロは母の言いなり
になるような息子ではなかった。

「暴帝」と冠されるのが当たり前のようなネロだが、やりたい放題でローマを危機
寸前に追い込んだカリグラに比べるとその治世は14年と長い。

それなりの政治認識もあり、庶民階級を楽しませることも知っていた。しかし、
母殺・しと妻殺・し、そしてギリシア文化かぶれが周囲の人々の眉を曇らせる。

日本にもいたなぁ、アメリカ大統領の記者会見を真似て日本を駄目にした
殿様首相が。笑。

あまりにもギリシア文化を愛した為、ネロはシンガーソングライターにまで
なった。「歌う皇帝」は市民には歓迎されたが、為政者階級には顰蹙を買う。

「あれ?これはまずかったかな?」と感じたネロは、極端から極端に走り、
遂には2・26事件に似た皇帝排除のクーデター未遂が起こる。

「あなたの犯・す数々の誤りを正すには、あなたを殺・すしかなかったのです」

未遂に連座した百人隊長のひとりが、ネロの尋問に答えての言葉だ。

そしてネロ最大の失策は、国家反逆罪に加担したという噂だけで軍団兵だけ
ではなく、敵からも畏敬の念を捧げられたいた武将コルブロを自死させた
ことだった。

ネロの死で、カエサルから始まった「ユリウス・クラウディウス王朝」は幕を
閉じる。そして、次々と皇帝が立っては倒れて行く時代が始まる。

あれ?近年の日本政府か?笑。