虎視眈々

いやはや、忙しかった。先週も忙しかったが、今週は輪をかけて問い合わせが
多かった。喉を潤す水分補給もろくろく出来ないほどである。

しかもこんな日に限って出勤人数が少ないのだ。お盆前に問い合わせが立て
込むのは毎年のこと。もう少し、人数配分を考えてシフトを組んでくれないだろうか。

大して忙しくない日に、席が足りなくなるほどの頭数を揃えていることもあるのにな。
おかげで強靭な私の喉も限界に近かったらしい。退社時間間際の常連さんからの
入電の際、発した声が普段より小さかったようだ。

「sashaさ〜ん、声、聞こえないよ〜」

すまぬ、おっちゃん。これでも最後の声を振り絞っております。あぁ、明日から
休みでよかった。ケホケホ。

ローマ人の物語14 パスク・ロマーナ[上]』(塩野七生 新潮文庫)読了。

カエサルの後継者に指名された美少年も、既に40代。カエサルの養子となり、
アウグストゥスの尊称を賜り、以降、この名で呼ばれることになるオクタヴィアヌス
元老院が継続を望んだ共和制への復帰宣言をする。

属州も含め広大になったローマ帝国の政体としては、もはや帝政に移行する
しかないと改革を目指した養父カエサルの遺志を捨てたような宣言だ。

アウグストゥスのこの宣言感激した元老院は彼に「ローマの第一人者」の地位を
認める。

しかし、アウグストゥスの共和制復帰宣言は帝政への布石であった。

不要になった権力を放棄するのと引き換えるように、新しい権力を手中にする。
それは、直ぐに役立つものではなくとも先を見る目を持ったアウグストゥスには
後々必要になるものだった。

元老院の目を欺きながら、着々とカエサルの目指した改革路線を踏襲する
アウグストゥスはなんとしたたかなのか。

少年の頃、元老院派の代表格でもある年長のキケロに「父」と呼びかけ
手玉に取っただけはある。笑。