寛容と言う罠

ロック歌手・ジョー山中が亡くなった。肺がん。享年64歳。映画「人間の
証明」のテーマソングが頭に浮かぶ。ご冥福を祈る。合掌。

閑話休題

本日の我が家の会話。

旦那「脅迫して欲しいんですけど」
私「…その日本語、本当にそれでいいの?」
旦那「脅迫…じゃなかったけ?白くするの」

はい、間違ってますね。それを言うなら「漂泊」です。そもそも、どうやってコーヒー
カップを脅迫するのか思いつかないんですけど。

久し振りに我が旦那の間違った日本語聞いたぞ。

ローマ人の物語12 ユリウス・カエサル ルビコン以降[中]』(塩野七生
 新潮文庫)読了。

生き残りのポンペイウス派の蜂起も平定し、実質、ローマの最高権力者に
登りつめたカエサル。次に手を付けたのはクラックス兄弟の昔から課題
だった階級闘争の緩和である。

国家の最高決定機関となっていた元老院の権力を弱め、属州民や奴隷さえも
ローマ市民権を持てるように改める。国家改造の断行だ。

カエサルが行ったことはまだまだある。通貨改革や暦の改定。彼が定めた
ユリウス暦は1582年に法皇グレゴリウス13世による改良が行われるまで、
なんと1627年間もヨーロッパと中近東の暦として在り続けた。

そして、属州の統治にはカエサル配下の兵士を入植させる。彼らは軍団で
覚えた土木工事の技術を活かし、現在のヨーロッパの主要都市を作り上げる。

終身独裁官となり、数々の改革に取り組んだカエサルだが全てを成し遂げる
までには至らなかった。

巨大になったローマは既に寡頭制の政体では機能しない。帝政を目指した
カエサルの改革は、彼を初代の皇帝にすることなく途絶する。

「ブルータス、お前もか」。かの有名な台詞を、私ならこう変えたい。

「ブルータス、お前は阿呆か」

ポンペイウス派につき、それでもカエサルの寛容によって許された若者は、
その後ろめたさの為に暗殺を決意したのか。