やられっぱなし

「汚染されたお米 セシウムさん」。こんなテロップがテレビ画面に流れた。
東海テレビでの岩手産のお米プレゼントの当選者発表だ。

リハーサル用に作ったテロップを、誤って本番で流してしまったと謝罪して
いたが、そもそもこんなもんを作ることがおかしいだろう。

被災地支援と言いながら、その実、ネタにして遊んでいるのがバレバレだ。
所詮、こういうのがテレビ局の体質なんだよな。本質が見えちゃったね。

ローマ人の物語11 ユリウス・カエサル ルビコン以降[上]』(塩野七生
 新潮文庫)読了。

なんだよ、塩野七生〜。どうしてこう、次から次へと「格好いい男」を繰り出して
来るのか。それが著者の狙いなのかも知れぬが、こっちは見事にその術中に
墜ちちゃってるんですけど〜。

ドゥラキウム攻防戦でポンペイウス軍に包囲網を崩されたカエサル軍は撤退する。
安全と思われる地点で、カエサルは全軍を集め、敗北を喫した部下を慰める。
しかし、それだけではなかった。

地勢は戦闘の為に有利だった。戦役が有利に展開するようにも配慮した。だが、
兵士たちの混乱、誤認、偶発事への対処に誤りがあった。しかし、全員が全力を
尽くすのであれば今の状況を逆転出来る。

混乱を来し戦線を乱した兵士たちの胸に「恥」の思いが湧きあがって来る。そして、
カエサル子飼いの兵士たちは自分たちを罰してくれるよう、最高司令官に申し出る
のだが、カエサルはそれに「否」と応じる。

カエサルのこの訓示と態度が、再度、精鋭たちの胸に火をつける。ポンペイウス
カエサルが直接対決することになるファルサルスの会戦で、カエサル軍は先の
敗走などなかったように甦る。

百人隊長のクラスティヌスが配下の兵たちを激励している言葉を耳にしたカエサルは、
馬を止めて彼の言葉に聞き入る。それを知ったクラスティヌスは最高司令官に向き直る。

「わが将軍よ、今日のわたしの働きぶりは、わたしが生きようが死・のうが、あなたが
感謝しなければすまないようなものにしてみせましょう」

言い終わるやいなや、クラスティヌスは真っ先に戦列を抜けで敵陣目がけて走り
出した。

やれるよね、こういう記述は。著者が描き出す歴史に引き摺り込まれずには
いられない。この会戦、歴史が教えてくれている通りポンペイウスが敗北する
のだが、彼の最後はあまりにもみじめだ。

映画作品としては大スペクタクルとして描かれるアレキサンドリア戦役は、戦闘
自体は至って単純なものとして、さらっと流している。クレオパトラが敷物のなか
から出て来るっていうのに。笑。