そして謎は残った
一昨日・昨日と、2晩続けてNHKスペシャルを観た。「未解決事件 グリコ・
森永事件」と題された集中特集番組だった。
江崎グリコ社長の誘拐事件に端を発し、京阪神の食品会社への相次ぐ
脅迫事件は店頭で「どくいり きけん」と書かれた商品が発見され、日本を
震撼させた。
結局は犯人グループの誰ひとりとして発見出来ず、関連事件の全てが
2000年2月10日に公訴時効を迎えて終わった。
今回の番組では、脅迫電話のひとつである女性の声が事件当時は20〜30代
と推定されていたのが10代の女性の声であるとの新たな分析結果が出た。
そして、大阪府警が仕切った捜査の最中、滋賀県警が極秘捜査を行っていた
との新証言もあった。
東京・府中の3億円事件同様、この事件も興味が尽きないのだが番組の構成と
して再現ドラマは不要だった。
当時の捜査員や取材に当たった新聞記者の証言を多く盛り込んでいるのだから、
それだけで構成してくれていたらよかったのになぁ。ドラマはどうしても作り物に
見えてしまうのでちょっと残念。
でも、複数の人間が関わっている事件なのに綻びも出ずに収束しているのが
不思議で堪らない。この事件をモデルにした高村薫の『レディ・ジョーカー』を
再読したくなった。
子供の声での脅迫電話、警察やマスコミを嘲笑うような挑戦状の数々。手掛かりは
多くあるのに、犯人たちは一体どこへ消えたのだろうか。謎だよなぁ。
『ローマ人の物語9 ユリウス・カエサル ルビコン以前[中]』(塩野七生 新潮文庫)
読了。
カエサルの『ガリア戦記』は2000年以上を経た今でも書店の店頭に並んでいる。
なんというロングセラーか。借金王で女たらしのカエサルも、いよいよこの巻から
活躍である。
『ガリア戦記』をベースにカエサルの戦績を辿っているのだが、当時は多くの目が
オリエントへ向かっていたのに、島国ブリタニアに目を付けたところも常人とは
異なる臭覚なのか。