待望のいい女

自民党がメディアを監視する組織を創設することに呆れていたのだが、
それを超えて失笑するしかないのが資源エネルギー庁だ。

東京新聞のスクープだと思うが、原発に関するメディア情報を監視して
きたという。不正確であったり不適切な報道を行ったメディアに対して、
訂正情報を送ることを目的としていたらしい。

この業務を行っていたのが、電力会社役員が理事を務める財団法人。
その外部委託費、4年間で約1億3千万円也。

国民の税金をなんに使ってんだよ。なんで事業仕分けショーで問題に
ならなかったんだよ。彼らの言う専門家ってどうせ御用学者だろう。

原発直下に活断層にあっても御用学者にかかっちゃ「この活断層
死んでいる」ってことになるんだもの、当てになるかいっ。

無駄遣いは返還して下さい。

ローマ人の物語6 勝者の混迷[上]』(塩野七生 新潮文庫)を読み始める。

強大国・カルタゴが消滅して以降、ローマは地中海世界の覇者となる。
外敵もいなくなり平和が訪れるかと思いきや、今度は国内問題が持ち上がる。

深刻な経済格差である。これを解消すべく立ち上がったのがグラックス兄弟だ。
まずは兄のティベリウスが平民の権利を守る護民官として、農地改革法を打ち出す。
借金の為に土地を失った小作農の失業問題は解決せねばならない。しかし、いつの
世も既得権益者は自分たちの権益が侵されることに敏感に反応する。

平民層からは絶大な支持を誇ったティベリウスだが、打ち続いた戦時下で権力を
持った元老院の反発は大きかった。平民集会に乱入した元老院派によって、惨殺
される。

兄の死から10年後、今度は弟のガイウスが護民官となる。兄が作った農地改革法
だけではなく、台頭する経済エリートの活用、軍の改革、植民地改革を目指すが
兄の時と同様、弟も元老院の反発を受け執拗な攻撃を受ける。そして、ガイウスは
ローマからの逃亡の途中、森の中で唯一同行した奴隷と共に自死する。

名門グラックス家はふたりの死をもって断絶する。あぁ…なんてこったいっ!
富裕層でありながら、平民の為に国内の正常化を願ったふたりが立て続けに
悲劇に見舞われるなんて。

さて、このグラックス兄弟の母はスキピオ・アフリカヌスの娘コルネリアである。
夫亡き後、子をなした女性には再婚を奨励していたローマだが、彼女は多くの
再婚話を断り、ふたりの息子の子育てに専念した。

「子は、母の胎内で育つだけでなく、母親のとりしきる食卓の会話でも育つ」

現代のお母さんたち、コルネリアの言葉を聞いておくれ。

この女性、名将スキピオの娘だけあってふたりの息子の死後も彼女の元を
訪れる人は絶えず、一種のサロンの様相を呈していたという。

「現在では台座しか残っていないが、そこには、「アフリカヌスの娘で、グラックス
兄弟の母コルネリア」と刻まれている。女の地位が低かった共和制下のローマ
では、これは珍しい例であった。」

いい女がやっと出来て来た♪