おかあさんといっしょ

派遣先の仕事は電話オペレーター。毎日、多くのお客様から様々な問い合わせを
受ける。今日も今日とて、鳴り止まない電話を次々とこなす。

学校が夏休みなると毎年のように何件か、子供の宿題の為の問い合わせが入る。
今日も1件、そんな問い合わせがあった。

でも、問い合わせをして来たのはお母さん。えっと…子供の宿題なのにいいのか?
昨年も何件か受けたが、どれも子供自身が電話をして来たぞ。電話の向こうでは、
子供にアドバイスするお母さんやお父さんの声が聞こえたが。

「自分で調べる」。そんな楽しみを覚えるのも、宿題のひとつではないのだろうか。

ローマ人の物語4 ハンニバル戦記[中]』(塩野七生 新潮文庫)読了。

ハンニバルvsローマのクライマックスである。象を連れアルプスを越えたハンニバル
は、イタリア半島ガリア人の土地を通過しながらローマに迫る。しかし、ローマを
直接攻めることをしなかったハンニバルが目論んだのはローマ連合の切り崩し。

しかし、ハンニバル側に寝返ったのは数えるほどの都市しかなかった。大きな誤算
に加えて、ローマでは弱冠25歳、元老院議員でさえないスキピオがスペイン攻略の
司令官に就任する。

知将ハンニバルの戦術を受け継いだのは、同じカルタゴ軍の将官ではなく、
敵対するローマの若者だったのも天才ハンニバルの悲劇だったのかも知れぬ。

ハンニバルも、後に「アフリカヌス」の尊称を賜るスキピオもヒーローなのだが、
私はローマ軍の奴隷軍団を率いたグラックスがいいな。

カンネの会戦以降のローマが一番苦しんだ時期に、愛国心も持たぬ奴隷たち
をまとめ上げ戦士に仕立て上げた武将だ。

ローマ市民との差別をせず、軍装も食事も戦利品も平等。カルタゴ軍に勝利した
後には全員に自由を与えた。しかし、自由奴隷になった彼らは戦争続行期間は
軍団に留まるという約束を守り、誰ひとりグラックスの元を去ろうとはしなかった。

グラックスへの忠誠心が、彼らを軍団に留めた。4年間、苦楽を共にした司令官は
カルタゴの武将のだまし討ちにあって落命してしまうのだが…。

グラックスの死を知った彼らの落胆はいかばかりだったのだろうか。