生き返って来い
「俺は今までお前が死ぬとこを何度も観てきた。そしてその度にお前は
生き返ってきたじゃないか。役者なら生き返ってみろ!生き返って出て
来い!」
松田優作の葬儀で、弔辞にこう読んだ原田芳雄が亡くなった。享年71歳。
闘病中であることは知っていた。その原田芳雄が久し振りに公の場に姿を
現したのは先週だったか。映画の舞台挨拶に車椅子で登場した。
その姿は、既に私の記憶にある原田芳雄ではなった。表現は悪いが、
本当に骨と皮ばかりの病人であった。己の死期を感じていたのか。
若い頃はワイルドさに目が行ったが、歳を取っていい顔の役者になったと
思っていたのに残念だ。
あちらへ行ったら、優作が待っているよ。でもさ、私としてはふたりとも生き返って
来て欲しいんだけど。
今度の休日には原田芳雄が吉田茂を演じたドラマの録画を観よう。ご冥福を祈る。
合掌。
『ローマ人の物語3 ハンニバル戦記[上]』(塩野七生 新潮文庫)を読み始める。
はみ出し者の集まりが作ったローマも、紀元前3世になると周辺諸国から重きを
置かれる国となった。そこへ舞い込んで来たのが、イタリア半島のつま先にある
シチリアの小国からのS.O.Sだ。
「シラクサが攻めて来たよ〜。助けて〜。向こうにはアフリカの大国・カルタゴが
バックについてるんだよ〜」と泣きつかれたローマは、海運国でもないのに
半島から海へ乗り出すことになった。
これが第一次ポエニ戦役の始まりだ。通商国家でもあり海運国でもあるカルタゴ
に対し、軍船さえ持たなかったローマは急増の軍船団を作り上げて戦いを挑む。
ビギナーズ・ラッキーなのか。海の民でもないローマは、カルタゴ軍を破って
しまった。強国が出来上がる過程には、やはり運も味方するのか。