父親たちの沖縄戦

普段、あまりテレビを観ない。ニュース番組は欠かさないが、好んで観るのは
自然や動物を扱った番組くらいだ。なので、我が家のチャンネル権は常に旦那
が握っている。

しかし、昨晩は1時間もテレビを占領してしまった。NHKスペシャルを観ていた。
「昔 父は日本人を殺した」と題された番組は、ピュリッツァー賞作家のデール・
マハリッジが海兵隊員として沖縄戦に参戦した父の足跡を辿る内容だった。

父の所持品のなかには沖縄から持ち帰った多くの遺品が保存されていた。
2000年に世を去る寸前、「遺族に返して欲しい」と遺品を息子に託す。

沖縄戦で、父は何を見たのか。父は何をしたのか。父と共に沖縄で戦った
海兵隊員を探し当て、彼らの元に通い、その重い口を開かせていく。

総力戦となった沖縄戦の話は、多くの書物・映像で何度もその悲惨さを
知った。だが、戦勝国となったアメリカの前線の兵士たちにもその戦いは
大きな傷を残した。

「66年間、日本は戦争をしなかった。しかし、アメリカはずっと戦争をしている。
アメリカは学習しなかった」

沖縄の元少年兵へのインタビューの際、デールが口にした言葉が印象的だった。

ベトナム戦争帰還兵が深刻な戦争後遺症を抱えていることは広く知られている。
だが、第二次世界大戦を始め、湾岸戦争でも、イラク戦争でも、アフガン戦争でも、
末端の兵士たちは癒しようのない心の傷を抱えているのではないだろうか。

この題材を扱ったデールの作品が完成したら、日本でも発売されないかなぁ。

『新聞社 ─破綻したビジネスモデル』(河内孝 新潮新書)読了。

新聞社の抱える問題を経営面から分析した書である。発行が2007年なので、
掲載されているデータがいささか古いのは致し方ない。

「細分化して業界紙として生き残る」というのが著者の持論だが、それ以前に
発表報道から調査報道に切り替えるってのはないのか?

あ…著者は記者ではないからそういう視点はないのかもしれないな。