権力を撃て!
仕事帰りの地下鉄の駅のホーム。6月大歌舞伎のポスターは愛する
仁左衛門の連獅子である。ふむ、観に行くか…なんて見惚れていたら
乗るはずだった電車に乗り損ねた。何してるんだろう、自分。汗。
閑話休題。
自分のものの知らなさに愕然とする時がままある。そんな訳で改めて
勉強を始めた。とは言っても相変わらずの独学ではあるのだが。
こんなことなら学生時代にもっと勉強しておけばよかったよ。でも、学生の
時って勉強よりも遊ぶ方が楽しいもんな。「社会勉強」と言い訳をして、
さぼった講義は数知れず。そのツケは、確かに今回って来ているぞ。涙。
有名人のワイドショーネタがあると「ナンシー関ならどう書いたかな?」と
思うように、新たな権力が生まれると「あの雑誌ならどんなスキャンダルを
探し出して来ただろな」と思い出す雑誌がある。
そのれが本書の著者が編集長として続けて来た月刊総合誌(スキャンダル誌?)
「噂の真相」だ。
反権力・反権威を貫き、月刊総合誌としては「文藝春秋」に次ぐ売り上げを
誇りながら、黒字のまま2004年4月号をもって休刊した雑誌の、25年に
渡る舞台裏を綴ったのが本書だ。
「皇室ポルノ事件」で大手企業がこぞって広告を引き上げたことが、却って
タブーなき権力批判を可能にした。公人・みなし公人への批判は勿論のこと、
かつては本誌の執筆者であっても容赦なく矛先を向ける。
その代表が権力側に寝返った猪瀬直樹であり、他者は批判するものの自分へ
の批判は許さない本多勝一であったりする。リアルタイムで愛読していた者と
しては、ひとつひとつのエピソードが懐かしい。
ひとつの雑誌の歴史として読むには大変面白いのだが、読み手の受取り方に
よっては編集長の自慢話とも取れてしまう危うさもある。
ただ、愛読者の視点で見るときっぱりと休刊したのであれば、過去を振り返るよう
な著作は出さないで欲しかった。
尚、史上最低の支持率を誇った(?)森喜朗元総理のスキャンダル記事に付け
られた「サメの脳とノミの心臓を持つ…」のタイトルは、改めて読んでも大笑いだ。