本の虫

つい先日まで、チューリップとパンジーが満開だった我が実家である。
今日、仕事帰りに立ち寄ったら花々は姿を消していた。代わりに植わって
いたのはナスにキュウリ、トマトにオクラ。

狭い庭はいつの間にか家庭菜園になっていた。

閑話休題

「アタックチャァァンス」。もうあの声は聞くことが出来ない。俳優であり、
司会者であり、作家でもあった児玉清が亡くなった。

肝機能障害で休養中と聞いていたのだが、胃癌だったそうだ。享年77歳。

長年司会を務めたクイズ番組は時たま見ていた。しかし、私の印象に残って
いる児玉清はそのタレント活動よりも「読書の虫」としての彼だった。

書評番組の司会を週替わりでやっていた他、読書関係のシンポジウムの
出席者欄にもその名前を良く見掛けた。残念ながら、私はシンポジウムには
出席したことはなかったが。

何冊かの著作のなかでも印象に残っているのは『寝ても覚めても本の虫』だ。
題名からも分かる通り、読書エッセイである。この本を読んで、彼の読書量に
圧倒された。

取り上げられているのは主に海外のエンターテイメント小説なのだが、邦訳が
出るのを待ち切れずハードカバーの原書を読み下す情熱の入れようだった。
蘊蓄一切抜きで書かれたエッセイは、本に対する愛情がいっぱいだ。

原書で読む喜びが溢れ、洋書が読めるようになりたいと憧れたっけ。

きっと、まだまだ読みたい本がたくさんあっただろう。また、私もこの人の
読書エッセイをもっと読みたかった。ご冥福を祈る。合掌。

『ザ・コールデスト・ウィンター 朝鮮戦争 上』(デイヴィット・ハルバースタム
 文藝春秋)読書再開。

やっぱり手強いハルバースタム。苦戦中ではあるのだが、アメリカ政治は
やっぱり阿呆で面白い。