最後の晩餐

女性同士の会話で多い話題は、ダイエットと食べ物か。今日も今日とて
派遣先での無駄話は、食べ物の話で盛り上がっていた。

「どこそこのあれがいおしい」とか、そんな話である。食べることは好きだが、
その為だけにわざわざ出掛けることはしないので、私には別世界の話で
ある。大体、どんなにおいしくても、限定品でも、並んでまで購入しようと
思わないのだ。

なので、右の耳から左の耳に聞き流していた。そのうち、「明日で死ぬと
分かったら何が食べたい?」なんて話になっていた。

出るわ出るわ。有名店と言われるスィーツ(あぁ、この言葉は嫌いだ)とか、
高級飲食店のメニュー。よくもまぁ、それだけ知ってるな。立ち食い蕎麦屋
のメニューなら結構知っているが、そんなのはお呼びでないよな。

そのうちに私にも話が振られて来た。ふむ、最期の晩餐ねぇ。予め最後の
食事と分かってるんだろう。うーむ…。

熟考すること30秒。決まった。私の最後の晩餐はやっぱりこれ。

塩むすび

「えー、もう何も食べられないのにそれでいいの???」

なんだよ、聞いておいて非難ごうごうかよ。ほっとけ。最高の米に最高の
塩、最高の海苔で作った塩むすびのどこが悪いんじゃいっ!

人が何を食べたがろうと放っておいてくれ。そもそも、聞くんじゃない。
あー、気分悪っ!なので、今後は韓流に続き食べ物の話もタブーに
しよう。

引き続き『ザ・コールデスト・ウィンター 朝鮮戦争 上』(デイヴィット・
ハルバースタム 文藝春秋)を読む。

「それはスターリンが共産世界で好んだやり方で、本当の政治的支援組織を
持つ者はあつかいにくくなり、本当に独り立ちしたと思い始めることをかれは
知りすぎるほど知っていた。だれでもいい、適材の者を連れてきて英雄だと
宣言し、あることないことお構いなしに神話をでっちあげ、権力の座に据える
ほうがまだましだ。」

そうやって権力の座についたのが、北朝鮮建国の父。かの偉大なる金日成
スターリンが作り上げた神話は、今でも北朝鮮で生きているんだ。