知らなかった私が悪い

マン・オン・ザ・ムーン 笑いの天才アンディ・カフマン』
(ボブ・ ズムダ/マシュー・スコット・ハンセン 角川文庫)読了。

ジム・キャリー主演の同名の映画を観ているので「映画は観たけど
原作は読んでいなかった」シリーズだと思ったのね。だって、表紙
カバーにも映画のシーンの写真が使われてるし、帯にも封切のお知
らせが書かれていたから。

違ってた。映画の封切に合わせて、アンディに非常に近しい関係に
あったズダムが綴った評伝だった。

実はアンディ・カフマンを知らない。アメリカではかなり有名な
パフォーマーだったようだ。本人を知らなくても映画を観ている
から大丈夫だろうと読み始めたのだが、甘かった。

ジム・キャリーの顔ばかりがちらつくのよ。恐るべし、映像の影響。
映画はかなり脚色されているようだ。ただ、アンディ本人も相当に
突飛にな人物だったようで、観客を退屈させようが怒らせようが
意に介さない。

笑わせることが目的はなかったんじゃないかと思う。彼を見る側の、
すべての感情を引き出す為のパフォーマンスだったのかな。

予定調和なんて糞くらえっ!って思っていたのかもしれない。

35歳の若さで肺がんで亡くなっているのだが、その死さえ周囲の人間
に「またアンディが何か企んでいる」と思わせてしまう。

きっとアンディ・カフマンの芸を知っていれば面白く読めたのだろう
と思う。

しかし、角川書店さん。この売り方はないわぁ。タイトルも映画と同じ
だし、原作だと勘違いさせるわ。