テレビ番組だけでよかった

木曜日の夜に異常な回数のくしゃみが続き、金曜日の朝には
鼻風邪になっていた。おかげでこの週末は何も出来ず。

熱も咳も出ないけど、さらさらの鼻水がひっきりなし。油断すると
喉に流れ込んで来て気持ち悪いのだ。

鼻のかみ過ぎでまるで赤鼻のトナカイである。今日はだいぶ良くは
なったのだけれど、早く治ってくれないかなぁ。鬱陶しいわ。

『「南京事件」を調査せよ』(清水清 文藝春秋)読了。

2015年10月4日に「シリーズ戦後70年」の1本として日本テレビ
NNNドキュメントで「南京事件 兵士たちの遺言」が放送された。

放送された当日には見られなかったのだが、後日、動画サイトで
番組を見た。

実際に南京戦に参加した元日本兵が綴った当時の日記を元に
した秀逸なドキュメンタリーだった。しかも放送したのが日本テレビ
ここにも価値があったと思う。

本書は番組内容に大幅加筆しての書籍化とのことで期待したのだ
が、いささか残念だった。

番組取材の基本となったのは『南京大虐殺を記録した皇軍兵士たち』
(大月書店)である。この作品に収録されている日記の裏取りや、当時
を知る元兵士を探して証言を得る過程に関しては調査報道の手法が
きちんと生かされている。

しかし、取材当時に国会で行われていた安全保障関連法案の審議の
模様が併記されていたり、著者の自分語りが多かったり、やたらと詩的
な表現が飛び出したりで、読んでいてうんざりする箇所も。

正直、テレビ番組だけにして書籍化しなきゃよかったのになと思う。
「文庫X」として話題になった『殺人犯はそこにいる』の時もそうだったの
だが、自分語りはこの著者の癖なのかな。どうも作品を重ねるごとに
酷くなっているように思う。

『桶川ストーカー殺人事件 遺言』以上のものは書けないではないかと
いう気がして来たわ。

内容としては南京事件を肯定する作品なので、一部の否定派からは
総攻撃されそうなのだけれどね。

ただ先の大戦では日本人は被害者としてだけの歴史だけはなく、加害者と
しての歴史をもしっかり持たなきゃいけないと思うんだよね。

まぁ、加害者としての記憶を言うと「自虐史観」と言われてしまうのだけれど。