改憲ではなく、壊憲だ

森喜朗が生きてんのに、なんで死んじゃうんだよ〜〜〜」と叫び
ながら、テレビ・ニュースを見ていた。

ラグビー日本代表の主将、代表監督を務めた平尾誠二が亡くなった。
53歳なんてあんまりだわ…。ご冥福を祈る。合掌。

『「憲法改正」の真実』(樋口陽一/小林節 集英社新書)読了。

2015年6月の衆院憲法審査会。参考人として呼ばれた憲法学者3人
が3人とも、戦争法案は違憲であると明言した。

自民党推薦の憲法学者の先生までが「違憲だ」としたものだから、激
高した自民党・高村センセイのお笑い発言まで飛び出す始末だった。

「たいていの憲法学者より私の方が考えてきたという自信はある。」

この「考えてきた」というのは、「そもそも憲法とはなんたるものか」では
なくて「どう変えたら自民党に都合がいいかな」の「考えてきた」なのじゃ
ないのですかね。

福島第一原発事故の際に時の首相・菅直人が「僕は原発に詳しいん
だ」と言ったくらい恥ずかしい発言だわ。

その問題の(?)憲法審査会に出席していた小林節先生と、今まで政治
的活動とは一線を画していた樋口陽一先生が、自民党憲法改正草案
がいかに危険かを論じあっているのが本書だ。

憲法というのは権力者を縛るものなのだから、権力者側から「憲法、変え
ちゃえっ!」なんて話が出て来ること自体が異常なのである。その異常な
状態を進めようとしているのが、現在の安倍政権だ。

本書でもおふたりが指摘しているのだが、私は改正草案が公になった時、
今の日本国憲法にある「個人」が「人」に書き換えられている点だけでも
「こいつら、何考えんだ?」と感じた。

そうして、言論・出版・表現・結社の自由にも制限をかけている。憲法
国民を縛ってどうすんだよ。憲法の役割が違って来るじゃないか。

そんな点ばかりに目が向いていたので、本書で語られている緊急事態
条項や、経済活動を国是とすること、道徳的価値観までが盛り込まれて
いる点に関してまでは気が回らなかった。

憲法なんて難しいんじゃないかと感じるかもしれないが、おふたりとも
とても分かりやすく語っている。特に小林先生は自民党のブレーンで
もあったので、ブレーンとして接した自民党議員たちがいかに頭が
悪いかにうんざりしている様子が伝わって来る。

だって、私が読んでも「ああ、憲法って本来こういうものなんだよな」と
理解出来るのに、国会議員が理解できないって何よ?特に世襲議員
なんてそれなりの大学を出たり、留学したりしてるんでしょう。どれだ
け頭の中、空っぽなんだよ。

安倍晋三日本国憲法を「みっともない憲法」と言う。その「みっともない
憲法」があったからこそ、日本は世界で信用されたんじゃないのかね?
戦後70年、他国に銃を突きつけることをしなかったのだから。

「国民の生活が大事なんて政治はですね、私は間違ってると思います」

これは自民党稲田朋美の発言。この人は「民族の魂の浄化のための
最良の方法は戦争」とかも言っていた。これが改憲勢力の本音ってとこ
だろうな。

改憲支持者たちは本当にこの改正草案でいいんだろうかね。今までの
生活が根底から覆るんだけれど。「新しい解釈」なんて訳の分からない
ことで着々と憲法は壊されているんだよ〜。

ただ、頭のおかしい政治家だけの責任かと言えばそうではない。私たち
には「知る権利」と同様「知る義務」があるという話にはっとした。

政府の言っていることはどこかおかしいんじゃないか。そう思ったら知る
為の努力をしなきゃいけないんだな。もっと勉強しよう。

今こそみんなで憲法を考えるべきなんだよね。考えて判断しなきゃいけ
ない。平和国家である為に、私たち有権者には「投票権」という武器が
あるのだから。

おまけ。安倍晋三の戦後70年談話を西ドイツ元首相のワイツゼッカー
の演説と通じていると言った産経新聞の記者がいるらしい。この記者、
ワイツゼッカー演説の全文を読んだことがあるのか?ワイツゼッカー
に謝れ、額をすりむくほど額をこすりつけて謝れ。ドアホウ。