悪の芽は誰もが抱えている

いやん、もう。卓球女子の3人娘が可愛すぎるっ!銅メダル、おめでとう☆

愛ちゃんが泣いていると、こっちまでもらい泣きしそうだよ。そして、先日の
準決勝の際、応援し過ぎて退場になった「かすみん」こと石川選手。今回
の3位決定戦でもイエローカード

退場にならないよう頑張って黙っている顔がめっちゃ可愛かったわぁ。

『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』 (フィリップ・ ジン
バルドー 海と月社)読了。

「面白い本を読んだから送るね」との友人からのメールが来た数日後、
宅配便で荷物が届いた。へへへ、ラッキー。タダで本をもらっちゃった。
それにしても宅配便の箱が少々重い。何冊入ってるのかなぁ。

1冊である。なのに重かったのは注釈も入れて800ページを超えてい
たから。ちょっとしたブロック並みの本である。それが本書。

著者は心理学者であり、現在はアメリカ・スタンフォード大学の名誉
教授だ。その彼が1871年に行ったのが「スタンフォード監獄実験」の
名で知られる心理実験。

この実験に関しては何度か映画化されているので知っている人もいる
かもしれない。実験内容は至ってシンプル。中流家庭のごく一般的な
大学生を集め、くじ引きにより囚人役・看守役に分け、心理状態を
観察するというものだ。

事前に心理学の専門家によって精神面でも心理面でも特に異常な点
は認められなかった学生たちだったのだが、看守役になった学生たち
はほんのわずかな時間で囚人役の学生たちへの虐待をエスカレート
させていく。

圧巻は勿論、実験過程の詳細な記述だ。看守役の暴虐とも言える
言動には恐怖さえ感じるし、囚人役が看守役たちの行いを受け入れ、
従おうとする姿には歯がゆさを感じた。

これは実験である。どちらの役の学生も、途中で止めたくなったら
途中離脱することも出来るとあらかじめ聞かされていた。それでも
看守役たちが勝手に増やした規則に従い、囚人という役柄に囚わ
れ「こんなの、ただの実験じゃないか」と言い放つ者がいない。

看守と囚人。ただの役割であったはずなのに、両者共に本物になって
しまった為に精神的に追い込まれ崩壊しそうな者が出たことで2週間
の予定だった実験は6日間で終了することになった。

この終了について、監督者である著者本人は打ち切りを判断することが
出来なかった。著者問任さえも研究者であり監督者であることよりも、
スタンフォード監獄」の最高責任者との役割に飲み込まれてしまって
いたからだ。

看守役になり、囚人たちを虐待した学生たちは特別な性向を持っていた
のではない。著者は言う。状況が人に影響を与えるのだと。腐ったリンゴ
が周囲をも腐らせるのではなく、腐った樽がリンゴを腐らせるのだと。

例えばナチスによるホロコースト、例えばルワンダ大虐殺、例えばアル
メニア人大虐殺。どれも引き起こしたのは特別な人々ではない。ある面
では善良でさえある人たちだ。

自分はそんなに残忍な人間ではない。誰もが思うだろう。しかし、置かれ
た状況が異なれば何をするのか分からないにもまた人間である。

私たちひとりひとりが、悪の芽を抱えている。その悪が萌芽するかしない
かは本人にも分からない。

願わくば私だけではなく、多くの人の悪が萌芽しませんように。

分厚い作品だが、ほぼ半分を占める「スタンフォード監獄実験」の過程
だけでも参考になる。尚、本書ではアブグレイブ刑務所で起きた捕虜虐
待についても考察しているので、半分読んで残りは時間を開けて読んで
もいいかも。