氷上のポップスター

北方領土は返さない。平和条約?結ばなくてもいいけど」

キャー。ロシア・ラブロフ外相にこんなことを言われちゃったよ。
プーチン閣下と仲良しアピールしていた安倍晋三の立場なしじゃん。

ジョニー・ウィアー自伝 welcom to my world』(ジョニー・ウィアー
 新書館)読了。

アイスホッケーとフィギュアスケートが好き。でも、何度かのルール
改正で今のフィギュアスケートは私が愛したフィギュアスケートとは
別の競技になってしまった。

アイスダンスはリフト重視になって、コンパルソリーダンスが廃止さ
れ、オリジナルダンスに組み込ませてしまった。氷上の社交ダンス
であるアイスダンスなんて究極、リフトなんかなくてもいいのに。

女子シングルスはジュニアからシニアに上がったばかりで棒のような
体つきの選手が増え、マリア・ブッテルスカヤのように女性らしい体の
ラインで大人の女性を演じられる選手が少なくなった。

男子はねぇ、つまんないのよロシア勢がいないと。これは私の個人的
な好みなんだけれどね。それでも、2回転倒してもオリンピック・チャンピ
オンになれるなんて疑問なのよ。オリンピックなら完璧演技で金メダル
を取って欲しいの。ソルトレイクの時のアレクセイ・ヤグディンのように。

愚痴ばっかり並べたけれど、要は私はロシア及びヨーロッパの選手が
好きなんだな。でも、例外なのが本書のジョニー・ウィアーだ。

全米選手権3連覇、トリノバンクーバー冬季オリンピックで入賞を
果たしたアメリカ人選手だ。ちなみにゲイである。美しい演技をしてくれ
るのならゲイだろうが、ストレートだろうが私には関係なんだけどね。

フィギュアスケートの選手にしてはスケートを始めたのは12歳という遅さ。
しかし、天性の運動神経とバランスの良さがあったのか。スケートを始め
てから僅か1年で3回転ジャンプをものにした。

順調に成績を伸ばしたジョニーだけれど、ジュニアからシニアに上がった
頃からアメリカのスケート連盟との確執が始まる。それはジョニーが連盟
が考える「男子フィギュアの選手はこうあるべき」と言う型にはまらなかっ
たからだ。

知っていたよ、その時々で連盟が押したい選手が高得点を獲得するこ
となんか。私も覚えがある。ほぼパーフェクトな演技をした選手でも、
ミスした選手よりも得点を抑えられる。

観客は正直だ。素晴らしい演技にはスタンディングオベーションを、
不当なジャッジにはブーイングを。実際、私もやったもの。2002年の
ヨーロッパ選手権ソルトレイクの男子ショートプログラムで。

ジョニーも何度も悔しい思いをさせられてきた。選手ではないけれど、
その悔しさは私にも分かる。そうして、フィギュアスケートが技術だけで
はなく、「芸術点」というジャッジの主観が幅を利かせる制度がある限り、
疑惑のジャッジはなくなることはないことも。

どの国でもスケート連盟はいろいろやらかしてくれているよね。日本も
例外じゃないしね。ジョニーに対して行われたネガティブ・キャンペーン
も連盟が仕込んだんじゃないかと勘繰ってしまったわ。

バンクーバーオリンピック直後に出された自伝なので、その後の男性
弁護士との結婚・離婚には触れられていないけれど、家族のこと、
初恋の人(勿論、同性)のこと、スケートに対する想い、連盟への怒り、
コーチとのゴタゴタ、そして自身のセクシャリティまで赤裸々に綴った
自伝である。

フィギュアスケートに興味がない人にはまったく分からいと思うし、
フィギュア・ファンでもジョニーに対しては好みが真っ二つに分かれる
と思うので万人向けではないことは断っておく。

ただ、スポーツ界の裏面を知るにはいいかもね。そうすると、「なんで
これで高得点?」という演技の謎が解けるかも。

競技生活からは引退してしまったジョニー。今はショーでしか見られない
のだよね。日本でのアイスショーだと出演者を確認して行かなkと、見たく
もないスケーターを見る羽目になるんで、私には要注意なんだけど。