共に過ごした30年

プーチン閣下が国民の質問に答えるよ〜」っていうテレビ番組が
ロシアであるんだが、そこで飛び出した質問。

質問者「人を殺したことがありますか?」
プーチン閣下「それは「この手で」という意味かね?」

怖いよ〜。閣下も怖いけど、閣下にこんな質問をするロシア人も
怖いよ〜。本当にあそこは恐ロシア。

『ヘタウマな愛』(蛭子能収 新潮文庫)読了。

「あんなのを野放しにしたら、僕の築き上げた日本マンガ全体が
駄目になる」

嘆きなのか、恐れなのか。手塚治虫にこんは風に評されたのは
誰あろう、本書の著者でタレントで漫画家の蛭子さん。

蛭子さんの不条理漫画は結構好きなんだよな。テレビで見ると
大抵ヘラヘラしてるんだけど、自由人なんだよね。太川陽介との
旅番組だったかで「旅館は嫌だ」とか言い始めちゃうし。

そんな自由人・蛭子さんが51歳の若さで亡くなった奥様・貴美子さん
の回想を綴ったのが本書。

新潮社、内容説明で煽り過ぎ。人の死、それも愛するパートナーを
失うという内容だからお涙頂戴になるのは分かるんだけれど「感涙」
はやりすぎでしょう。

それはさておき。蛭子さんも奥様も、本当に相手が「大好き」だったの
だなぁと思う。いつも一緒なのだもの。

賭けマージャンで逮捕されちゃった蛭子さん。しばらく謹慎でタレント
活動は自粛。ギャンブルで捕まっちゃったのに「ラスベガスへ行こう」
と家族旅行を計画する奥様の、なんとたくましいことか。

プロの漫画家としてデビューしても、それだけでは食っていけない
時期が続くのだけれど、そんな時期を支えてアパートからマンション
へ、中古の一戸建てから新築一戸建てへと住み替えを計画して
いった奥様は蛭子さんにはかけがえのない人だったんだろうな。

奥様を亡くした後、寂しくて寂しくて、周囲の女性に軒並みアタック
する蛭子さんの姿は、読んでいて少々辛い。

30年の愛情がいっぱい詰まっている。それでも、一人では生きられな
い蛭子さん。再婚相手は19歳年下の女性だったよね。

いいのではないかと思う。だって、ひとりにしておいたらどうなるか
分からいもの蛭子さんは。

「私は新しい嫁さんと良い家庭を築く為に、前の嫁さん(つまりお前)
のことはこれから一切口に出さないことにする。本当に許してくれ。
生きている人が一番大事だと考える私を許してください。」

「文庫版あとがき」のこの一文。蛭子さんの正直さが表れてる。