変質
いろんな文学賞やらノンフィクション賞やらがあるが、本日は
「本屋大賞」が発表になった。
しかしなぁ、この賞、芥川賞や直木賞のようにニュース番組の
途中で「今入ったニュースです」って速報扱いで発表するような
ものなんだろうか。
出版不況が言われて久しいけれど、毎年「本屋大賞」を受賞した
作品は新刊書店で軒並み平積みにされ売り上げも伸びている。
出版界には貢献しているようだが、これ、そもそも元からある
程度売れている作品のなかから選ばれてなかったっけ。
賞が出来た当初は「書店員が選ぶ、読んで欲しい作品」だった
はず。それが「書店員が売りたい作品」になっていやしないか?
取次や出版社の思惑が絡んで、賞自体が変質しているような
気がするわ。
尚、私は今まで受賞作は1作も読んでない。ノミネートされた作品
で唯一読んだのは横山秀夫『64』だけ。
もっとも、近年は新刊の小説にはまったくといっていいほど手を
出してないのもあるんだけど。
『密約 外務省機密漏洩事件』(澤地久枝 岩波現代文庫)を
読み始める。
アメリカが支払うはずだった400万ドル。それを日本政府が肩
がわりする。沖縄返還交渉の際の密約は、日本版ペンタゴン・
ペーパーズになる価値のあるスクープだった。
しかし、それは機密漏洩に係わった男女間のスキャンダルに
すり替えられた。俗にいう「西山事件」の裁判を追ったノン
フィクション。