唯一、自由だった夜に

日本が予選リーグ敗退が決まったら、ワールドカップは終わり
なのかね?

ニュース・バラエティを見ていると、どこもこんな扱いなんだけど。

尚、私はギリシャを応援している。国が財政破たんして、選手が
宿泊しているホテルも普通のビジネスホテル。コンディションを
整えるのにも不利な環境なんて日本戦の前に報道されていた。

だから、余計にギリシャを応援中。国が大変だからこそ頑張って
いる選手にはエールを送ろう♪

『ホッケー69 チェコと政治とスポーツと』(曽我部司 TBS
ブリタニカ)読了。

問:戦車とは何ですか?
答:戦車とは交通手段であり、ソ連の兵士たちが友好諸国への
  友好訪問に利用するものです。

問:世界で最も中立的な国はどこでしょう?
答:チェコスロバキアです。なにしろチェコスロバキア人は内政
  すら干渉しませんから。

「人間の顔をした社会主義」を掲げて、チェコスロバキで変革運動
が起こった。「プラハの春」だ。

だが、「二千語宣言」を危険視したソ連ワルシャワ条約機構
に国境を突破させ、チェコスロバキアに侵攻する。

1968年8月20日23時ごろ。チェコスロバキア全土は制圧され、
改革は封じ込められた。見ざる、言わざる、聞かざる。わずか
な望みを奪われた人々は、海外へ亡命するか、ソ連の抑圧
の下で生活するしかなかった。

そんなチェコスロバキアの人々が感情をおおぴっらに表現出来る
機械が巡って来た。「プラハの春」がはかなく消えた翌年の1969年、
ストックホルムで開催されたアイスホッケー世界選手権だ。

ソ連チームに勝利した日、プラハのバーツラフ広場は数万人、否、
数十万人が繰り出し、自国のチームを勝利を祝った。

ソ連に勝った!」と口々に叫び、祖国が戦車で蹂躙された溜飲を
下げた。

本書は「プラハの春」と1969年アイスホッケー世界選手権でのソ連
からの勝利をメインに、チェコ人にとってのホッケーを描いたノンフィ
クションである。

現在はチェコスロバキアに分割されたチェコスロバキアだが、元々
アイスホッケーが盛んな国だ。プロ・リーグもある。その選手たちや
チーム・オーナー、引退した選手たちに話を聞き、1969年の狂乱
を描き出している部分は凄い。

あの日、バーツラフ広場ではアエロフロート事務所の焼き討ち事件も
起きている。長く詳細が不明だったこの事件に突破口を開いたのは
お見事。

スポーツと政治。対局にあるように感じるものだが、実は切り離して
考えることが出来ないものでもある。

著者は札幌生まれで自らもホッケープレイヤーだそうだ。本書では
チェコのホッケーに対する思い入れが強すぎるのか、NHLや日本の
アイスホッケーをとことん貶めているのが私には気に入らない。

あ、本題はいいんだ。チェコの人たちがソ連に勝ったと快哉を叫ん
だ日の出来事や、チェコのホッケーについての部分はね。そこは
アイスホッケー好きとしては勉強になったし。

同じリンク、同じルールでプレイするのに国によってスタイルが違う
なんてないと著者は言うんだが、国と言うか地域によってスタイル
の違いは確かに存在すると思うんだけどな。

だからって、どれが優れているとは言えない。私自身はロシアの
スタイルが好きだけど、北米タイプでも北欧タイプでも、勿論、
著者が多大な感情移入をしているチェコスタイルもいいと思う。

チェコホッケーの素晴らしさを伝えないなら、他を貶めるのは
禁物だと思うんだよね。ブツブツ…。