理想のインテリジェンスの世界

ASEAN首脳会議の夕食会に、AKB48が登場。やめて〜、アジアに
日本の恥を晒すのは。

どうせ口パクなんでしょう。各国首脳の前で歌わせる必要性が
分かりません。

もっと違ったイベントは考え付かなかったのかよ〜。

ウルトラ・ダラー』(手嶋龍一 新潮文庫)読了。

1968年、東京から若く腕のいい彫刻職人が忽然と姿を消した。
1990年、デンマークコペンハーゲンで開催された「童話絵本
フェア」に参加していた精緻なグラビア印刷の技術を持つ日本人
経営者が失踪した。

そして、時代は下って2002年。アイルランド共和国の首都・
ダブリンに偽百ドル札が現れた。精緻を極め、本物とほとんど
見分けがつかない「ウルトラ・ダラー」。

イギリス・BBCに籍を置く情報部員スティーブンを軸に、アメリカの
シークレット・サービス、日本の高級官僚を絡ませて、北朝鮮
よる偽札製造の謎を追うインテリジェンス小説なのだが。

北朝鮮による日本人拉致、金正男旅券偽造での日本入国事件、
実際の北朝鮮による偽札製造事件等、実際の出来事を絡ませて
物語は進む。

事件の裏での外交交渉等は、著者がNHKのワシントン支局長と
しての経験から書かれているのだろうから「あぁ、ありそう」とは
思うのだ。

だが、主張登場人物がそれぞれに完璧過ぎて小説中の人物
としての面白味に欠ける。

きっとこの作品は、手嶋氏が理想とするインテリジェンスの世界を
投影したもののだろう。諜報の世界を描いた部分はそれなりに
面白いのに、人物描写が難点だな。

ストーリー展開も早く、物語に引き込む力もあるんだけれど、
やぱり手嶋氏はノンフィクションの方がいいかも。

ラストの展開で「え…それだけ?」となるが、佐藤優氏の解説
が興味深かったので☆ひとつおまけ。