間違えてくれて有難う

アメリカ4大スポーツのなかでも断トツの不人気を誇るNHK(トホホ)。
そのアイスホッケー・リーグの王座決定戦、スタンレー・カップファイナル
が開幕した。

今年はシカゴ・ブラックホークスvsボストン・ブルーインズ。どちらの
チームのファンでもないのだが、第1戦が白熱した。第3ピリオドまで
で決着つかず、延長戦へ突入。その延長戦も3回目でやっと決着だ。
112分8秒の熱戦だった。

そういえば以前にカンファレンス・セミ・ファイナルを観に行った時も
とんでもない延長戦になったことがあった。延長2回目に入った時点
で、「この試合、終わらないんじゃないか」と思ったっけ。

選手もファンも、お疲れ様♪

『黄金郷伝説 スペインとイギリスの探険帝国主義』(山田篤美
 中公新書)読了。

「黄金のカステーラでございます」と差し出された箱には、勿論
カステーラなど入っていない。そこには黄金色に輝く賄賂の小
判がぎっしり。

時代劇でありそうな、悪代官と越後屋(なんでいつも越後屋なんだ?)
の場面である。黄金は人の心を惑わすものである。

エルドラド。日本語だと黄金郷。著者は旦那さんの赴任先である
南米ベネズエラに滞在中、「エルドラド」という名の村があること
を知る。

しかし、その村は黄金郷伝説の夢の都とは異なり、何の変哲も
ないさびれた村。知れば知るほど、いろんな疑問が浮かんで
著者は調べに調べる。そして書かれたのが本書である。

きっかけはまたもやコロンブスなのである。どうやら東の方に
真珠と黄金を産する宝の山のようなジパングという国がある
らしい。ほんじゃ、行ってみようか。地球は丸いから西へ向か
えばそのうち着くだろう。真珠と黄金で大儲けしてやるぜっ!

コロンブスが辿りついたのは室町時代の日本ではなく、南米の
島だった。だが、偶然にもそこでは真珠が取れ、黄金を身につ
ける先住民がいたものだから、さぁ、大変。

一獲千金を夢見るスペイン人が大挙して押し寄せ、当初は
侵略者を温かくもてなした先住民たちも猜疑心を抱くように
なる。だって、真珠や金の採取に酷使され、奴隷として本国
へ拉致されたりするんだから。

侵略地から続々と真珠や黄金が送られ笑いが止まらない
スペイン。これを羨んだのがヴァージン・クィーン、エリザベス
1世を戴く大英帝国だ。

「世界中に迷惑をかけているスペインの富をどうにかしなけれ
ばならない」

そんな大義名分を掲げて国家公認の海賊行為にいそしむ。
おいおい…スペインが南米の先住民から略奪した品物を、
再度の略奪かよ。怖いぞ、大英帝国

史実を辿るのも面白いのだが、著者の風景の描き方が秀逸。
テーブルマウンテンの描写とか興味深く読んだ。

南米の歴史についてはほとんど知らないので、本書を手にした
時には読み通せるか不安だった。だが、冒頭からぐいぐいと
引き込まれて楽しく読めた。

特にコロンブスの悪行三昧については、視点を変えると大航海
時代の英雄もただの簒奪者になるんだなぁと思った。

いや〜、本当に南米に辿りついてくれてよかった。コロンブス
目指した通りに日本に到達していたら、日本も独立戦争をして
いたかもしれないものね。

それにしてもコロンブスアメリカ・インディアンに不幸をもたらし、
南米の先住民にも不幸をもたらしたのかよ。